1. 水星が写っている画像の抽出

気象衛星ひまわり8号の地球画像でその背景に水星が写りそうな時期をステラナビゲータでサーベイし、見えていそうな場合は画像をダウンロードして拡大、明るさ等を強烈に調整して確認しました。Web上の画像ではあまりに暗く検出は無理でしょう。画像は全地球図データ集(NICT:情報通信研究機構)から。

水星の像は確認してわかったことですが、地球全体像が11,000×11,000の画像サイズで、数ピクセルの大きさに過ぎません。普通のモニターで見れば点に等しい。水星の像探しではなくて光る点探しゲームです。

一年間で水星は四回も太陽の周りを廻りますのでチャンスが多いように感じますが、軌道面が地球と少し交差しますので静止衛星ひまわり8号の撮影領域から外れる期間もあります。今回は輝度が大きい条件の場合に限定して選定しました。

結果は次の表1のとおりで水星が写っている画像の代表例を示します。年月日の所にリンク先を貼り付けておきました。但し、ダウンロードして画像処理しないと見えません。

表1 ひまわり8号で水星が写っていた撮影画像

(年月日) (撮影時刻) ( 等級 ) (視直径)  (輝面比)  (見える示針方向)
2016/04/02 00:00     -1.5       5.4″        0.93            52
2017/03/08 23:20     -1.8       5.0″       1.00             40
2017/09/19 22:30     -1.0       5.9″       0.76             57
2017/09/19 22:40     -1.0       5.9″       0.76               2
2017/09/20 22:20     -1.0       5.9″       0.79             55
2018/02/25 23:50     -1.4       5.1″       0.97            42
2018/03/19 00:50      0.4       8.1″       0.32              2
2019/02/17 00:20     -1.1       5.6″       0.86            36
(見える示針方向とはアナログ時計にした場合の針の向きを意味しています)

2. 水星の画像

表1の中から最も明るい2017/03/08、一日で2回写った2017/09/19及び最近の水星として2019/02/17の画像の3枚を載せておきます。画像は見やすいように編集しています。白い光る点が水星です。全体の地球像(今回は真夜中ですので暗い)の画像は1/10にリサイズしています。このため、この画像を拡大表示しても水星は消えてしまって見えません。また、中に貼り付けた拡大画像は原画からトリミングしたものです。良く見ると水星は白の他、赤、青、緑が写っている時があります(この画像ではわかりにくいのですが原画で確認すると見えます)。これはひまわり8号が3バンドでスキャンしているためそれぞれの色のわずかな時間ずれによるものと考えられます。画像合成処理で一体化すれば一点になりますが、目的は地球像ですから対象外なのでしょう。

図1 水星が明るい時期の画像(青い帯状は地球の大気圏) 2017/03/08 23:20

図2 水星が10分間に撮影された2枚を合成 2017/09/19 22:30、2017/09/19 22:40

図3 今年の水星画像の例 2019/02/17 00:20