2023/07/23に金星が写っていることを確認して以来、夏休みの宿題?として内合前後の様子を毎日確認し金星日記として留めています。画像はNICT:情報通信研究機構にあるひまわり9号画像を使用しています。下記補足欄に8月15日まで金星が写っている時刻をリストアップしておきました。Web画像でも拡大すると金星が見えると思います。

最新のひまわり画像に写った金星を画像1に示します。地球と金星が写っている領域を切り取り、中央に明るく調整した金星を表示しました。この画像は2023/08/13 23:50で内合直後になります。四角枠に写っている領域を拡大し明度を上げると光っている円弧の様子がわかります。

画像1 ひまわり9号に写っていた金星画像 2023/08/13 23:50 JST NICT:情報通信研究機構による

ここで、金星の東西南北のどの部分が明るく見えているのだろうかと気になりました。と言うのはネットで内合の説明が一般的に見られますがそれらを読むと例えば今回の事象で言えば右側が細くなりながら一度新月に似た状態になり真っ暗、直後左側が光り出すように思ってしまいます。おおまかな内合、外合の理解のための説明なので問題ないのですが、その意識で金星日記を辿るとそのような変化が見られないことに気が付きます。調べてみると今回の内合時には真っ暗にならず、しかも左右の東西ではなく、北側が最も細くなって光って見える時が内合に一致していることがわかります。

この点で国立天文台の説明図(下記リンク)が気に入りました。この点で国立天文台の説明図(下記リンク)が気に入りました。内合時に真っ黒表示ではなく上が細く光っている図が差し込まれていたからです(しかしこの図も地球外から見た立体模式図であって、できれば今年の内合時の金星は太陽よりも少し南側の位置になるので、地球から見ると北側が少し光が反射しているように見えるはず、と付け加えて欲しかった)。まあ、模式図の表現は難しそう、でも一般的な内合の説明ではなく内合前後数日の変化を気にしている者として真っ暗な金星よりも北側が少しでも光っている図を捜していましたので。

https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/07-topics01.html#desc01

ひまわり9号の金星日記から今回の内合前後の画像を切り出し、並べると画像2のとおりです。原画像は金星を撮っているわけではないので画像はとても粗いものになります。しかし、金星の光っているおおよその形はわかります。この金星の画像は縦軸が南北になるようにしています。8月10日から一日間隔(途中、0時近くで前日の画像になってしまう場合は括弧書きにしています)の金星の変化を示しています。8月10日では右側(東)が光っていますが時間が進むに連れて反時計回りに回転し、8月14日には北の部分が光って見えています。地球から見て、太陽の方向より金星が少し下にあるのでそのように見えるのでしょう。

画像2 ひまわり9号に写っていた金星の経時変化 すべてNICT:情報通信研究機構から

せっかくなので7月23日から8月14日までの一日間隔の金星の姿の変化を画像3として作成しました。粗い画像で、センターリングも上手くいっていませんが、約3週間内の変化です。

ひまわり9号による金星画像はスキャン範囲内にある8月末までしか写らないと考えられます。9月上旬まで金星が捉えられたと仮定すると左側(西)に三日月状に見えるようになるのでしょう。

参考にステラナビゲータで今後の内合年月日と金星の光る部分が回り込む東西南北の方向を調べました。下記リストに太陽との離角、太陽とのズレ方向、地球から見える金星の光る縁の回り込み経時変化およびひまわり9号(運用されている場合)による観測の可否を示します。

次の内合2025/03/21では今回とは逆に金星の細い光は東側から時計回りに南側へ廻り込みます、またひまわり9号で観察できると思われます。また、2028/06/01の時は太陽面通過にはなりませんが太陽にきわめて近づき、上記の説明に示したような内合前後で新月状態(全面暗く)を挟んだ周辺回り込みのない変化になります。しかし、観測はとても危険です。太陽光が直接、視野、写野に入ってしまうことを避けなければいけません。

2023/08/12 離角約8° 太陽の南側へ 光る縁は北極側に回り込む ひまわり9号で観測可

2025/03/21 離角約9° 太陽の北側へ 光る縁は南極側に回り込む ひまわり9号で観測可

2026/10/22 離角約8° 太陽の南側へ 光る縁は北極側に回り込む ひまわり9号で観測不可

2028/06/01 離角1°以下太陽の北側へ 新月状態になるかも    ひまわり9号で観測不可

画像3 ひまわり9号に写っていた金星の経時変化(2023/07/23~2023/08/14) NICT:情報通信研究機構

なお、金星の内合時の姿・光の形は地球から太陽を中心に見た場合、上記リストのように金星が太陽との関係でどの位置にあるかで決まります。その位置関係が詳しくまとめられたページがありましたのでリンクしておきます。ほんのり光房様の「とても太陽に近かった金星の内合」2020/06/05記事の中の金星・内合前後の通り道(2000~2040年の全内合・黄道座標系)の図です。

あと、ひまわり9号に金星が写り込む可能性は8月下旬までのわずかですが(スキャン対象から外れます)確認を続けようと思います。


補足

ひまわり9号の画像に写っていた金星の画像リスト

Venus記録

日付にある時刻はひまわり画像で地球の左側、その隣が右側に金星が見えていたことと対応しています。✕印は写っていなかった事を、矢印は前日の画像であることを意味します。

00 07/23 01:30   01:40

01 07/24 01:20   01:40

02 07/25   ✕       01:40

03 07/26  01:00   01:40

04 07/27  01:00   01:30

05 07/28   ✕        01:30

06 07/29   ✕          ✕

07 07/30   ✕        01:20

08 07/31   ✕           ✕

09 08/01  00:30   01:10  0:30はスキャンズレ

10 08/02  00:20     ✕

11 08/03   ✕          01:00

12 08/04  00:10      ✕

13 08/05   ✕          00:50

14 08/06  00:00      ✕

15 08/07   ✕           ✕

16 08/08   ✕          00:30

17 08/09   ✕           ✕

18 08/10   ✕          00:20

19 08/11   ✕           00:10

20 08/12   ↓            ✕

(08/11)  23:20

21 08/13   ✕          00:00

22 08/14   ↓             ↓

(08/13)  23:10      23:50

23 08/15   ✕             ✕