3月2日に月面「危難の海」に着陸したブルーゴースト(Firefly Aerospace社のBlue Ghost)が先週の3月14日の皆既月食時に反対に月から見た地球による太陽の掩蔽(日食)画像を公開しました。それを画像1に示します。引用はRef.1およびRef.2のファイアフライ・アエロスペース社およびNASAの公開データによります。
画像1 月面危難の海に着陸したFirefly Aerospace社のBlue Ghostから撮影した日食 2025/03/14 Ref.1およびRef.2
この画像では地球から見た時の日食と見た目、良く似て、特に太陽が現れ始めた時の強い光の一点よりも地球の周りがリング状に見えていることに注目しました。地球の背後に見かけ上、地球の大きさの約1/3であっても太陽光が地球の裏側全面に当たるので、太陽が隠れていたとしてもリング状に地球の大気を通して散乱、屈折のように見えているのかと想像しました。この推察に関して記述がないかと調べ上記ファイアフライ社のRef.1を読み進めるとこのリングは地球の大気を通して屈折した結果と記述。なるほど地球から見える皆既日食や金環食(太陽と月が見かけ上、同じ大きさ)と同じ例でありながらも太陽を隠す大きさは異なります。太陽観測情報のSOHOのコロナグラフの大きめのマスクに隠されたようなものに地球大気の屈折効果が加わり見えていると思いました。
それではと、念のため、撮影画像をステラナビゲータ12でシミュレート、あわせて地球の背後に隠れている太陽がどのような動きに見えるかその時間変化を確認することにしました。
シミュレーションするための基本データとしてブルーゴーストの着陸点およびその着陸点から見える太陽と地球の大きさは以下のとおりです。
・着陸点:危難の海、モンス・ラトレイユ近くで北緯18.56度 東経61.81度( Ref 3:Wikipedia)
・視直径:太陽は0.54°、地球は1.83°(ステラナビゲータ12による表示画像から)
ステラナビゲータ12で上記着陸点を入力し、地球を中央に表示させ地球の背後にある太陽の位置変化を3分間隔で動画にしました。動画開始時刻は14:00~19:00 JSTとしています。この作成した結果を動画1に示します。
動画1 ブルーゴーストから日食の観測シミュレーション ステラナビゲータ12によるシミュレーション
動画1では時刻を表示させていますが、詳細にシミュレーション画像で確認すると地球の背後に太陽が消える(日の入り)時刻と太陽が現れる時刻(日の出)はそれぞれ2025/03/14 15:15および17:38でした。
プルーゴーストによる画像1と動画1を比較すると天体の向きが同じ確認は取れていませんが同じだとすると画像1は米国中部標準時CDTで午前3時30分頃(17:30頃JST)撮影とありますから、地球から太陽が現れた瞬間とすると動画1の対応時刻も光の強い円周角方向も合致していると思います。
もし太陽フィルターでかつ望遠で撮影していればもう少しその関係が明確になったのかもしれません。撮影は広角レンズで撮影されたと説明されています。
興味本位ですが、カラーのスペクトルを月面撮影地点の本影、半影(夜明け前後のようなもの?)が通過する時の時間変化としてデータが得られればターコイズフリンジなる色も地球大気、オゾンの効果等の立証にもなると思いましたがどうでしょう、興味がわきました。今後、この関係の情報があればここに追加しておくことにしましょう。
Ref.1 FIREFLY AEROSPACE社 Blue Ghost Mission 1: Live UpdatesのMarch 14, 2025記事 https://fireflyspace.com/news/blue-ghost-mission-1-live-updates/
Ref.2 NASA Science Data Received, Blue Ghost Captures Eclipse From Moon https://www.nasa.gov/blogs/missions/2025/03/14/nasa-science-data-received-blue-ghost-captures-eclipse-from-moon/
Ref.3 WikipediaのMons Latreille https://en.wikipedia.org/wiki/Mons_Latreille