2023/09/29は中秋の名月、満月と重なり、クリアで見映えの良い事からメディアで多数の画像が取り上げられていました。昨日は満月の他にCSSの天頂通過、スターリンクも低高度ながら19:00前後に通過が予想されていましたので欲張って3点の観望、撮影を楽しもうと二台態勢と思っていたのですが、夕方になって雲に覆われ、人工衛星の撮影は良い成果が得られませんでした(整理して良かったら後日追記)。
CSS通過後、19:00頃に東の空、まだ低く、雲の間に満月が見えましたので記念にと、急いで撮影。
画像1に焦点距離200mm、画像2にいつもの2,000mmの月を示します。眼で眺めてもまん丸でクリア(P1000のモニター画面はとてもキレイ)、少し黄色がかった月がなおさら美しく感じました。撮影条件でシャッター速度が普段よりもかなり遅くなっていたのが特徴です。
19:00時点の月の諸データを参考に以下に示します。
月齢14.3 地心距離 36.16万 km 測心距離 35.97万 km 秤動値中央経度 3.2゚ 中央緯度 2.2゚でした。これらはステラナビゲータによります。
画像1 中秋の名月 2023/09/29 19:10 COOLPIX P1000 ISO-800 f/8 200mm相当 1/15秒
画像2 中秋の名月2023 2023/09/29 18:59 COOLPIX P1000 ISO-100 f/8 2,000mm相当 1/125秒 10枚スタック
画像2の撮影中に、いつもより大きい、2Kサイズでは焦点距離2,000mm相当にする月が収まるのがほとんどなのですが画面一杯の画角に入りませんでした。また、月の縁を全周に渡って移動して見ると影が無くクリアなのです。
そこで、この月が大きく見える点、また、月周辺に影が無くすっきり見渡せる点、この二点の原因を考察予想しながら、月までの距離と月に太陽光が正面に当たっている理由を確かめることにしました。
2023年の満月は13回あるのですがそのリストを下記参考欄に示します。まずそのリストから08月のスーパームーン満月時に次いで、中秋の名月は地球に近く、視直径もスーパームーン時が32.9′に対し33.2′と差はわずかでした。これが大きく見えていた理由です。
次に月周辺に影が無くクリアに見えたことを確認するため満月リストに従い、昼間に満月を迎える画像は対象外として満月時の地球の影の関係を整理しました。月が地球の影に近い位置にあれば逆に地球から見て、太陽からの光が月に真正面に当たると考えられます。月周辺の影が見えずらい関係になることを意味します。
結果を画像3に示します。中秋の名月がちょうど地球の影に入らず近い関係でした。もっと近づくと月食になるのですが、逆に地球の影が被さりクリアではなくなるように思えます。他にほぼ満月であればクリアに近い条件はあるのでしょうが、満月時という点にこだわりました。
なお、国立天文台のページに中秋の名月の2030年までのリストが載っていますが、これをステラナビゲータで確認すると2030年まで満月との組み合わせはありません、また、中秋の名月+満月で今年以上に地球の影が近づく(太陽光が地球から見て正面に当たる)ことはありませんでした。中秋名月+満月でもっと地球の影が近づくのはそれ以上先になるのでしょう。
以上、今年の中秋の名月は満月と言うばかりでなく、まん丸で、周辺に影が無い、記念すべき月が眺められたと言うことです。秤動値も小さくはなく、センタームーンとは程遠いのですが個人的には月面中心がこちらを向いているとも思え理想的な月を見た気がします。
画像3 2023年の満月と地球の影の位置関係 ステラナビゲータによる作図
参考
2023年の満月。ステラナビゲータで確認。満月日時、月齢、地心距離、備考の順にまとめています。
2023/01/07 08:08月齢14.5 40.58万km
2023/02/06 03:29月齢14.9 40.58万km
2023/03/07 21:40月齢15.2 40.04万km
2023/04/06 13:35月齢15.5 39.11万km
2023/05/06 02:34月齢15.6 38.02万km 半影月食
2023/06/04 12:42月齢15.5 36.99万km
2023/07/03 20:39月齢15.3 36.19万km
2023/08/02 03:32月齢15.0 35.75万km 月最接近
2023/08/31 10:36月齢14.4 35.72万km 月最接近
2023/09/29 18:58月齢14.3 36.16万km 中秋の名月
2023/10/29 05:24月齢14.1 36.97万km 部分月食
2023/11/27 18:16 月齢14.0 38.05万km
2023/12/27 09:33 月齢14.2 39.22万km