ひまわり9号の画像に金星が内合直後に写ったことをきっかけに細い金星から半月状になるまで追跡。2023年の時もNo.1204のように追跡したことがあります。今回は東方最大離角から内合に向かう期間の追跡は行っていません。前回内合時、見かけ上金星がわずかに太陽よりも南側を横切るので金星の北側に半リング状に見えていましたが、今回は金星が太陽の北側を通過するため金星の南側のリング状の変化を追いかけることになりました。データはCIRA/RAMMB/JMAからBand3の画像で確認。

参考に2025年の金星関連の特徴を以下に示します。ステラナビゲータ12によります。

・東方最大離角 2025/01/10 光度 -4.4等 視直径 24.4″ 輝面比 0.51

・内合 2025/03/21 光度 -4.1等 視直径 59.4″ 輝面比 0.01

・西方最大離角 2025/06/01 光度 -4.3等 視直径 23.8″ 輝面比 0.50

・外合 2026/01/06 光度 -3.9等 視直径 9.8″ 輝面比 1.00

今回は結果として3月23日から6月4日までの画像を取得。6月4日以降は一度ひまわり9号の撮影範囲外となるので写りません。秋になれば再度撮影範囲に入りますがその時は地球から遠ざかり外合に向かっているのでかなり小さく、像も丸く光って見える程度と予想されます。

上記追跡期間中に金星を確認した結果を以下に示します。

内合直後の最初に写ったのは3月23日で、前記した通り地球から見て、金星は太陽よりもわずかに北側に位置していましたので、太陽の光があたる金星南側に細く半リング状に見えました。地球からの距離も最も近い時ですので視直径も大きい。その後、地球および金星はその惑星軌道を進みそのリングは太陽の方向に対応して時計方向に回転しながら変化、かつ地球からの距離も遠ざかりその姿は小さくなりました。

この様子をGIFファイルにして画像1に示します。金星が写っている期間はほぼ内合時から西方最大離角時と言って良いでしょう。画像はかなり粗いのですが姿、大きさはわかります。同日撮影および大気を通しての画像は採用していません。望遠鏡が無くても金星の変化が楽しめました。画像の真上は天の北、金星の南北は天の北に対し22°~23°時計回りに回転した方向になります。

最初の画像が内合直後、最後の画像がほぼ西方最大離角時に相当します。それぞれステラナビゲータによれば光度 -4.0等 視直径 59.5″ 輝面比 0.01および光度 -4.3等 視直径 23.0″ 輝面比 0.51。

参考欄に全画像を整理して添付しておきます。出典はCIRA/RAMMB/JMAです。画像にはCIRAロゴが付いています。

画像1 ひまわり9号による金星の変化(2025/03/23内合直後から西方最大離角直後06/04)  CIRA/RAMMB/JMAから


参考

ひまわり9号の画像は気象衛星で、撮影範囲は地球がメインですが、その背景に金星が写り込むタイミングがあります。また、ひまわり画像に写る金星はかなり小さくそのままでは見えません、最大に拡大して確かめる必要があります。

画像の見逃しの可能性はありますが表1に今回確認した金星画像のリストを示します。また、それぞれの画像をまとめて圧縮ファイルにしました。

表1 ひまわり9号の画像に写った金星のリスト CIRA/RAMMB/JMAによる