天体画像処理ソフトSirilを試用して先日のSeestarで撮影した画像の彗星基準(彗星追尾)のスタック処理を行いました。以下はその結果です。SeestarおよびSirilに関して触れていますが正確に記述したつもりですが解釈の中でそうではない部分もあるかも知れません、ご注意ください。

先日のSeestarによる自動導入、撮影したレモン彗星の画像データとして二種類があります。一つは撮影と同時に自動スタック処理されJPGファイルとしてスマホに記録されます。この時の画像は既に事前に撮られたダークファイル等が考慮、処理されています。この種のファイルの画像は今までに関連記事に使用してきたとおりです。

他方、Seestar本体の方にはその元になった画像が独立にFITSファイルとして残されています。しかし使用したことはありませんでした、あまりにもJPG画像が良かったためでしょうか必要とも感じませんでしたので。

今回は彗星部分のみをスタックした画像(今まではDeepSkyStackerかマニュアル重ね)を取得しようとFITSファイルを利用してSirilで処理したものです。Seestar本体からPC(デスクトップ)への画像データのコピーはルーター経由WiFiネットワークでSeestarのローカルIPアドレスで接続しフォルダーEMMC Images\MyWorksから拾いました。

今回、そのFITS画像を使用して彗星基準(メトカーフコンポジット)により処理した結果を画像1に示します。2023/11/09 18:44~18:49に撮影された20枚のFITS画像によるものです。画像取得率として今回は20枚/5分=4枚/分です。露光時間は10秒ですがSeestar内部処理により1分で6枚にはなりません、さらに雲等で遮られたり、恒星が線状に写ってしまった場合は累積画像データとして採用されず破棄されます。

画像枚数として今回の撮影では50枚以上あったのですがSeestarでは初めての彗星撮影でもありましたので撮影位置をずらしたりしてしまい連続した撮影は上記20枚になってしまいました。(全部の枚数処理を行いましたがばらつきが大きいためか彗星は点状になりませんでした)

画像1の左側はSiril処理直後に得られたままの画像です。右側はその画像を彗星が目立つように調整しています。

参考に恒星基準にして処理した画像、彗星が動いてしまいますが、それを画像2に示します。

光害下の最悪の空の明るさなので仕方がないのですが、枚数を増やせばもっときれいな画像が得られるのではと思います。なお、今回のSirilによる画像処理の手順を忘れないようにするため参考欄にメモしておきました。

画像1 レモン彗星C/2023 H2 Sirilによる彗星基準スタック画像の例

画像2 レモン彗星C/2023 H2 Sirilによる恒星基準スタック画像の例


参考

以下は今回処理したSirilの処理手順を示します。試行錯誤しながら進めていますので正しい手順なのかどうかは?。Sirilの中で画像処理に関しいろいろ調整ができるようですのでもう少し理解を深めます。

01. Siril起動

02. 全体ウインドウ最上部枠にある左のホームマーク”Select Folder”をクリックして処理したいfitファイルが置かれているフォルダーを選択して”開く”をクリックします。

03. 右画面ソースファイルの”+”をクリックすると前記フォルダーのファイルが表示されますので処理するfitファイル全てをハイライトし”Add”をクリックします。右側画面にそのファイル全体が表示されます。

04. 右画面のメニュー欄”変換”が選択されていることを確認し、下の保存先に任意のシーケンス名を入力すると”Convert”バーがハイライトします(ブルー)ので、その右にある”シンボリックリンク”、”ディべイヤー”にレ点マークして”Convert”バーをクリックします。画面はConsoleになり処理の流れがスクロールしながら表示されます。

05. 全体ウィンドウの下にある 画像コントロールボタンのオプションの”線形”から”自動エコライゼーション”を選択し、右隣のautostrech viewer modeをクリックすると左画面の画像の背景色(緑)が通常画像(撮影食)に切り替わります。

06. 右画面のメニュー欄”整列”をクリックし、整列方法として”Global Star Alignment(deep sky)”を選択してそのまま”整列開始”をクリックすると左撮影画像に恒星点がマーク表示され、全ての画像がその恒星配置になるよう処理されます(通常のスタック)。

07. 再度、”整列”メニューの”整列方法”で”Comet/Asteroid Registration”をクリックして選択します。

08. 全体ウィンドウ最下部枠の右端にある画像集マークをクリックすると処理しているファイルリストの画面が開くのでリストの一番上に表示されたファイルを選択し、左側に現れた画像の彗星核部分を+表示のマウスで四角で囲んだ後、右側画面にある”#1対象を選択”をクリックして登録します。なお、左側の彗星核を拡大して表示したい場合は、キーボードctrlキーを押したままホイールを廻すと変化します。

09. 同様にファイルリストの一番下の画像をクリックし彗星核部分を囲み右画面の”#2の対象を選択”をクリックして登録、その後で”整列開始”をクリックします。

10. 右画面のメニュー欄の”重ね合わせ”を選択し、下部に表示されている”Stacking result”の”Output Normalisation”と”RGB equalization”にレ点チェックし”重ね合わせ開始”をクリックします。

11. 彗星基準スタックの画像が現れるので、以後、全体ウィンドウの画像処理で調整します。今回、画像処理の機能を完全には理解していませんので、一度、この画像を保存することにしました。保存は全体ウィンドウ最上部枠にある”保存”ボタンの右にある下向き矢印のマーク”別名保存”を選ぶと、Save File画面が現れるので名前を変更したりしてSaveボタンクリックします。この時ファイル種類はfitを選択します。jpgを選択したら真っ暗画面になってしまいました。保存はViewer modeは線形ではないとの注意が現れますが無視して”Save Anyway”をクリックします。

12. 保存した画像を例えば、ASFitsView(ASIStudioの中にある)でPNGまたはjpgで保存して画像調整ソフトで調整して仕上げたのが画像1および画像2です。