気象衛星ひまわり8号の地球全図データ集(NICT:情報通信研究機構)の画像を見ているといろいろな地球表面上の自然現象の面白さが味わえるように思えます。気象情報だけでも山ほどあるのに、それとは別に地球外のほんの小さな隅に注目して写っている天体探しはゲーム感覚にも近く楽しいものです。
今回は惑星に注目しました。当初写っているわけはないだろうと思ったのですが、ひまわり8号の眼はすばらしい。望遠鏡で見えるような姿は望まない、ここでは光る点に過ぎませんが惑星の画像を抽出しました。探す方法はNo.539や参考欄の「気象衛星記事」のようにステラナビゲータの利用によります。
抽出した画像には写っているとは言ってもほとんど見えません。そこで画像の明るさを調節し拡大すると発見できます。
見ることができたのは金星、火星、木星です。土星は太陽系軌道の関係からしばらくはひまわり8号から観て地球の裏を横切ることはありませんので(ステラナビゲータでは天頂から約10°以内)写っていません。ステラナビゲータによれば2024/02頃になると土星の軌道が地球の後ろを横切るようになります。
今回は金星のみについてふれます。対象は2015年です。2015年の夏は金星の内合を迎え視直径も大きく、三日月状に見えるので金星を判別しやすい。内合は2015/08/14でした。(画像は大きいもので150MBの例もあり、このためここでは容量の関係から縮小処理していますので原画で確認したい場合は「NICTのひまわり8合リアルタイムWeb」でどうぞ)
金星が写っていた画像で視直径が大きく、最も細く三日月状に見えた2015/07/21~2015/08/16の約1か月間17枚を抽出しました。内合前後ですから金星の右側の輝きが徐々に左回転して上部の輝きに変化しています。特徴的な3枚の画像情報を以下に示しておきます。日付の部分でリンクさせていますので、マウス左クリックして徐々に拡大表示すると見えると思います。
2015/07/21 01:50 地球のほぼ真北の画像すれすれの位置に右側が輝いています。
2015/08/14 00:10 内合の日。上部の円弧上の輝きに変化しています。
2015/08/16 23:50 これは偶然に2個の金星が写っていました。
この画像を拡大するとニコニコしているように見えます。ひまわり8号が描いたようなものです。スキャニング時間のタイミングでずれているのだと考えられます。月の場合は不連続な形状を成すのですが金星は小さいので途切れずに写っています。かなり珍しい画像だと思われます。
各画像を並べるよりは17枚の画像を1枚にした方が良いと思いまして比較明画像にしました。図1に示します。
画像は明度を上げて1/10にリサイズしています。この画像でも拡大すると金星の光る点として見えると思います。赤枠で囲った領域をさらに明るくした画像を図2に、もっと金星らしく見えるように白枠で囲った2か所を代表例として図3に示します。これらの画像は原画像から処理しています。図3では金星がいろいろな形で見えていますが、図4のように太陽系の惑星軌道から内合前後であり、地球から金星を眺めた様子を想像すれば類推できると思います。
図3の右側の白枠にも写っていたのですが、これをさらに拡大した画像を図5に示します。理由は前述したとおりです。