Seestar-S50のアプリがV2.0からV2.1.0へ、ファームウェアが3.31に更新されました。この中にはSky Atlasマップ上に撮影枠を指定して撮影されるFraming機能(Mosaic撮影)が追加されました。フレームは最大で従来画角の縦横2倍、面積で4倍まで拡張、さらにその撮影枠は任意に回転設定できます。

先日2024/10/30のTsuchinshan-ATLAS(ツーチンシャンアトラス)彗星の撮影の後、その機能を確認するため試写。以下にその結果を示します。撮影対象は彗星としました。

画像1に従来の撮影モードと今回のMosaic撮影の結果を比較します。左側は従来の10秒間×6枚のライブスタック2Kサイズ1080×1920の画像です。右側はFraming機能で縦横を×2倍に広げ、フレームは回転せず彗星をやや右下に写るように設定したものです。撮影は同様に10秒間露光の撮影。今回の撮影は途中で中断させましたので31分間186枚のライブスタック画像になりました。もう数十分撮影を継続すれば4Kサイズ(2160×3840)のフル画像が得られたはずです。

画像1 Seestar-S50のフレーミング機能(モザイク撮影)の確認

この右側のモザイクスタック画像がどのように撮影されたか理解しようとSeestar本体から全画像を取り出し確認することにしました。撮影順に2K画像186枚を連続して動画1のように撮影領域の変化をまとめました。前述したように彗星を右下に写るようにしたためかやや右下の範囲から撮影が開始され、撮影位置がそれを取り巻くように渦巻状に回転移動させて自動撮影している様子が伺えます。詳しく調べると各撮影位置で4枚の画像を取得後、次の位置に移って撮影を繰り返す方法でした。今回は186枚ですので約47箇所の位置を撮影したことになります。

動画1 Seestar-S50のフレーミング機能(モザイク撮影)の確認 撮影ステップの様子

モザイク撮影のスタック画像はスマホおよびSeestar-S50本体の両方に画像1のように記録されていました。これとは別に186枚の画像を使用してSirilやASI Studioでスタックを試みました。しかし、2Kサイズ範囲内のみの処理でモザイク機能(画像面積の拡張)ができません?、ここで経験のあるDeep Sky Stacker (DSS)で処理してみました。処理過程で129枚が利用され、その処理結果を画像2に示します。左の画像はDSS処理後のまま、従来得られる2Kサイズの画角を白枠で示します。右側の画像は左側の画像の明度を強く表示したものです。各画像のモザイク重ね合わせの画像であることがわかります。

画像2 DeepSkyStackerによる画像処理 Seestar-S50のMosaic撮影全FITS画像を使用 右:明度強調

Seestar-S50のフレーミング機能(Mosaic撮影)によるライブスタックの画像1(右側)では明度を強くしてもムラも現れずクリアな画像処理が行われているようです。

今回たまたま彗星を例にしたMosaic撮影の確認でしたが、この機能は銀河、星団星雲の方がふさわしい、彗星のような恒星との相対的な動きの相違がないので長時間撮影でも最適な画像が得られるでしょう。例えばNo.1225の撮影例のようにM31のアンドロメダ銀河は画角が倍になれば全体が写せる対象になります。撮影時間を気にしないのであれば有力な機能となります。

ただし、フレームを回転させたりすると同じ倍率・画角であっても撮影位置が増えることになる場合もあり短時間で済ませたい場合はそれを意識してフレーミングする必要があります。