文末に”ほんのり光房”様の望遠鏡による画像情報を追記(2023.12.23)。
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月面のRay現象は面白く興味深い。クレーターの周りの山間谷間からクレーター内に夜が明けようとするタイミングで太陽光が射し込み照らす現象です。この光の射し方で影との組み合わせで、今までにマギヌスの魔女(最新はNo.1232、過去の例は検索で)およびプラトーのRay現象(No.1245)を楽しんできました。

今回はそのRay現象が見られる、ヘシオドスクレーターについて”ほんのり光房“様の記事(2023/12/21投稿)を読み、それではと望遠鏡ではない道具で見えるものなのかどうか挑戦してみることにしました。上記記事の案内にあるとおり、クレーターは小さく、また、今までに意識したこともないので見つけられるかどうか初挑戦。

2023/12/21 18:00過ぎからBENRO POLARISにCOOLPIX P1000を載せて追尾し画角から外れないように設定。風が強く、晴れているのに月面をモニターで見るとグニャグニャしていてピント合わせも難しい。事前に場所や見え方を調べていましたのでそれを記憶に探しました。近くにある”直線の壁”も消えたり現れたり、結局、見慣れた”マギヌス”クレーターと”ティコ”との位置関係から探しました。45分ほどモニター画面を見ていました。初め、最大倍率(P1000で言う500倍、3,000mm×4倍相当)にしてもこんなに小さいのか、それにシーイングの酷さも加わり無理かと思いましたが諦めずに続行。

以下は結果で、画像も解像度以外に撮影条件も統一していませんので個人用の観測記録になります。

画像1に光の射し込みが見えた以降の画像(多数撮りましたがボケ等使用率はわずか)を選び出し、10分間隔の変化として示します。また、18:44に撮影した様子を動画1に示します。

画像1 ヘシオドス・クレーターのRay現象 2023/12/21 COOLPIX P1000 最大倍率(デジタルズーム)500倍 3,000mm×4倍

上記画像のクレーター・ピタトスとヘシオドスの大きな円と小さな円が接し横切るように少し暗く見えている隙間(谷)から左に光が射している様子が想像できます。

・18:15頃からモニターを見ていましたが、ヘシオドスのクレーター内は真っ暗で影のみか。

・Rayが見えたのは画像データからは18:37。モニター画面でも射し込んでいる様子は見えました。ただし、解像度の面のみでなく風の影響による揺れ、シーイングの影響が大ですのでたまたま見やすくなっただけかも。望遠鏡ならばもっと早い時刻に見えていたのかもしれません。

・18:50過ぎはモニターでRay現象は見えていますが、広がりの様子として見えるわけでもなく、またとても寒いので19:00過ぎには打ち切りました。

動画1 ヘシオドス・クレーターのRay現象 2023/12/21 18:44 4K動画から

強いボケ気味の映像ではありますが光が射している様子は伺えます。ヘシオドスをセンタリングしましたが、似たような映像になりましたので原映像をそのまま使用しました。また、上記動画とは別に18:59時の動画データをAS!3でスタックしました。参考に画像2として添付しておきます。

経験からシーイングが良ければもっとキレイに写る可能性はありそう。それにしても小さいクレーター、ほぼ限界でしょう。P1000による楽しさが味わえる一面でした。

追記:2023/12/23。上記”ほんのり光房”様の観測案内記事に続き、望遠鏡による解像度の高い観測結果/画像が載せられていましたのでリンク先を示します。(1) 「悪シーイングの空でヘシオドスRay観察」 2023/12/22記事、(2) 「冷たい宵のお月見」2023/12/23記事 → ピタトスとヘシオドスの境界谷間の地形の様子がわかります。

画像2 ヘシオドスのRay現象 2023/12/21 18:59 COOLPIX P1000 4K動画から