(追記:地球の影の整理 → 赤道座標はNo.1096に)

一眼デジタルEOS-M6の方のデータを整理しました。これで、No.1092にも記した当初の目的は達成。月食撮影を終了した後は数分間、火星と木星にP1000を向け4K映像を取得しました。月食の時ってデータ処理に時間を要しますが楽しいものです。

1. 月食の経過

18:15頃外に出て、セットアップ。ポラリエは久しぶり、極軸望遠鏡で北極星を捉えるのは簡単ですが、かがみこんだりして腰に堪えます。設定が済めば追跡は安心です。撮影条件を試写しながら確認して18:43から5分間隔で自動撮影。時々、シャッター速度を確認。一方、手に空いた時間をBENRO POLARISの方でCOOLPIX P1000のモニターを見ながら皆既食開始及び天王星の掩蔽の観測、撮影に専念しました。

画像1に月食の経過を示します。本影は既に始まっていて、皆既食開始、食最大、皆既終了を撮影したものです。

画像1 月食の経過 2022/11/08 EOS-M6 200mmレンズ ISO-100、200、400、800で1/100~4秒の組み合わせ f/6.3

2. 月面に写る地球の影

まず最初に、皆既月食の時の地球の影の表現は最低3枚あれば可能であることを知りました。以前もNo.976のように整理したことがあるのですが、その時は枚数がかなり必要でしたので、てっきり今回も5分間隔で撮っておきさえすれば大丈夫だろうと。

今になって気が付いたのですが、以前は部分月食で地球の影の縁部分を月が通過したので枚数が必要になりましたが、今回のように皆既月食は地球の影の中央(とは言っても今回の皆既月食も中心からずれています)を通過しますので地球の円弧が長く写る時刻を調べておけば2枚で済みます。見映えを良くするためにはそれだけでは面白くないので皆既食中の赤い月(Blood Moon)を入れるだけです。

もちろん、2枚の並べ方を知らなければ正確に地球の影だと言い切れません。そこでシミュレーターが役に立ちます。ステラナビゲータ11は月食モードがあって地球の影を中心にしたまま追いかけ、その中に各時刻における月の位置を表示できます。今回はその型紙を用意しました。合計9枚の撮影時刻の月の位置を表示し、それに撮影した画像をはめ込むだけで出来上がります。

画像2に月食時の経過画像(抜粋)とそれに浮かぶ地球の影を示します。AstroArtsギャラリーに投稿した画像です。右上が皆既食開始前、左下が皆既食終了後の画像です。皆既開始と皆既終了時刻の画像を撮ろうとしましたが残念ながら準備不足と撮影途中に余計な事をしていてそのタイミングを逃してしまいました。しかし、結果として地球の影を表現するには逆に無い方がわかりやすくなりますね。

画像2 月面に地球の影 2022/11/08

中央の真っ赤な月面は明るく撮影し19:58時点の画像です。周りのおひつじ座近辺の恒星の他、天王星もこの時刻のみ浮かぶようにしました。天王星は左下の明るい光点ですが隣接の月面画像との位置関係ではなくて中央の最大食月面との関係に相当するものですので誤解しないようにしましょう。最大食の時は天王星の掩蔽まで約40分ありますので月の半径程度離れています。

皆既食ですから地球本影の中を通過しますが中心線よりかなり上側に通過したように思えます。そのためでしょうか、月面の上部の方が明るくなっていますね。真ん中を通過すれば均一になり文字通り赤い月になりそう。

3. 当日の火星と木星

画像3に火星と木星の2枚を縦に並べて合成しました。どちらも2倍に拡大しています。この日この時間帯、火星の表面は大シルチスとヘラス台地がわかりますね。写せたので連勝です。

画像3 月食当日に空に輝いていた火星と木星 2022/11/08 COOLPIX P1000による4K動画から