ひまわり8号の画像についてベテルギウスの部分を拡大してさらに画像処理を実施。目的はひまわり8号の画像で直感的な見た目の変光星の明るさの差を確認することです。No.1038ではRGBの小さな光る点で確認しましたがここではRGBを分割処理し、特に赤色に注目。この処理は、ひまわり8号の画像について教えていただいている「ほんのり光房」久保庭様のコメント、ヒントをきっかけに実施したものです。
使用した画像はNICT:情報通信研究機構により、バンド1~バンド16のデータではなくNo.1038に示したように即ダウンロードできる11,000×11,000サイズの地球画像です(地球の外側にベテルギウスが写っています)。
なお、画像の処理については写真等の見た目の調整しか経験がありませんので、ここで示す処理画像には注意が必要です、そのため、施した処理過程は以下に念のため留めておきます。なお処理ソフトはPaintShopPro2021です。
(ベテルギウスの画像の整理)
ひまわり8号の画像で地球の背後に写るベテルギウスはとても暗くそのままでは見つけられません、またその画像サイズは数ピクセル×数ピクセルと極めて小さいものです。このため、強烈に明度を上げると共に画像サイズを20倍に拡大しました。2019年11月から2020年3月までのベテルギウスの光点を時系列に並べ画像1に示します。赤、緑、青とずれて写っていますがベテルギウスの光です。3枚にベテルギウス以外の像が周りに見られますが、ベテルギウスが地球大気圏に近い位置に見られたため、その地球側のわすずかな光を拾ってしまうためです。対象から外そうと思いましたがそのまま使用しています。
画像1 ひまわり8号によるベテルギウスの光点抽出
上記画像では明るさの差が明確ではありません。そこでこのRGB画像を赤、緑、青のチャネル分割処理を実施しました。それを画像2に示します。画像2の上段はその処理直後の画像で全体として赤は強く、緑、青はやや弱めの明るさです。また、各月の明るさの差は明確ではありません。しかし、さらにコントラストを強く明るさを減じると下段のような画像になりました。緑と青はかなり暗くなって見えにくくなってしまいましたが、赤色の分割画像には明るさの差が見えるようになりました。2019年11月と2020年03月は明るい光る点のように見えますが2019年12月下旬から2020年03月上旬の間は暗くなっているように見えます。この画像の変化はNo.1038にもリファレンス先を示したNature AstronomyのDaisuke Taniguchi, Kazuya Yamazaki & Shinsuke Unoの文献中のグラフと対応しているようにも思えます。全ての画像処理は同一条件で実施していますので処理方法による影響は考えられません。相対的比較に過ぎませんが減光期に対応しているように思われ面白い結果です。
画像2 ひまわり8号によるベテルギウス減光期の赤(R)、緑(G)、青(B)の分割単色画像比較