1. はじめに

金星についてはNo.547でも記事にしていますが、2015年のみが対象でした。このため、それ以後も確認しておくことにしました。
金星画像抽出条件として外合時期(地球→太陽→金星と並ぶ。金星が満月相当)は視直径が10秒近くで内合(地球→金星→太陽と並ぶ。金星が新月相当)の時の約60秒に比べて1/6と小さくなるので対象から外しました。このため対象を内合時期としました。内合の方が三日月状になって金星らしいことも理由の一つです。内合の時でもひと月前後ずれると丸みを帯びてきますので対象から外しました。もちろん、ひまわり8号の視野範囲外は対象にできません。
これらの条件を念頭に画像を抽出し以下にまとめました。

2. 金星が写っている可能性のある日時特定

気象衛星ひまわり8号の地球画像(NICT:情報通信研究機構より)を検索する前に金星が写っている時期をステラナビゲータ11でサーベイ。画像を見つける方法は参考欄の「気象衛星ひまわり8号から観える天体 (月の画像抽出)」と同様です。

ステラナビゲータ11により内合の時期とひまわり8号の視野に入るかどうか確認しました。ステラパッドの日時のコントロールにより2016年からの約3年間分の金星の動きがわかりますので数分でおおよその検索対象範囲にするかどうかが決められます。結果は以下のとおりでした。
(下記内合の日を境にしてその前後に写る可能性の有無)
2015/08/14 写る可能性が大
2017/03/23 写る可能性が大
2018/10/25 視野から外れる。2018/11/20~2018/12/10に地球の南に写る可能性がある。
2020/06/04 視野から外れる。

2015年はNo.547のとおりです。金星が同時撮影時に2個写っていたのが興味を引きました。
2017年は一か月間ほど写っている画像を確認しました。もっと存在すると考えられますが金星らしいのはこの時期だと考えられます。
2016年、2018年及び2019年は外合の時期が主となって、またひまわり8号の視野にも入らない時が長いので確認しません。なお、2018/11/20以降については念のため調べたのですが、見つけ出すことはできませんでした。地球南極を横切る数個が写ることを期待したのですが叶いませんでした。

結局、2015年以外として2017年のみが対象となりました。
現実に金星の写り込んでいる画像を何枚か抽出しました。表1にその結果を示します。表中備考欄のダブルは金星が地球に隠れる直前、地球から現れた直後の様子が1時間ほどのずれで同じ日に写っていたことを意味します。

3. 金星の画像

表1の画像はNICTのひまわり8号リアルタイムWebからダウンロードして確認できます。もちろん、Web上の画像では暗くて判別できませんので、明るさ等をソフトで調整して確認します。

今回、探し出せた画像14枚を比較明処理した一枚を図1に示します。11,000×11,000の画像サイズを1/10の1,100×1,100にリサイズしています。さらにその画像に見えていた個所を丸印(○)で囲みました。この画像ではリサイズしていますのでダウンロードしても金星は薄っすらと丸く見える程度です。

このため、最も金星らしい画像の代表例を図2に示します。L6及びR4は写っていた箇所の記号で表1に示したとおりです。2017/04/08 21:40と22:40の原画像から切り出し拡大しています。

図1 ひまわり8号の地球の画像で金星が写り込んだ位置(14枚分)

図2 金星の拡大画像の例

4. まとめ

ひまわり8号に写っていた金星の画像を抽出しました。画像はNICTから。地球の美しさに添えるように金星がしかも三日月のように写っていました。

ステラナビゲータによればこのような三日月状の内合時期に見られる金星は2023年夏までなさそうです。しかし、今年も該当しますが丸い外合を挟んだ時期の金星は写る可能性が高いので、機会を見て探索を楽しみたいと思います。

なお、ひまわり8号並みの写真と思いたい望遠鏡無しで撮影した金星の姿を参考に載せておきます。

No.451, No.180, No.178, No.171, No.167など。