1. ノイズについて

星空の写真の中で、ISO感度を高く、露光時間を長くして撮影した場合、背景が暗いためどうしても赤い点、ノイズがゴミのように目立ってしまう場合があります。写真全体のざらつき感ではなくて、局所的、スポット・点状のものです。

カメラにはノイズ低減の設定があり、使用したこともありますが、市街環境下での撮影では天体写真のスタック処理の観点から枚数を増やす方を優先してしまうので、カメラ内の処理時間を待ちきれずほとんど使用しません。

このためトリミングでスポット点を外して整理していました。しかし、最近、赤点ノイズが目立ち、かつその部分をカットしてしまうと肝心な星の部分が表現できないため、気になり始めました。

ノイズについてはたくさんの情報がありますが上記のように具体的に体験した例を認識しているレベルです。ノイズは電子器械である限り発生、しかし少なくする方法があると理解していました。ノイズ対策としてハード面とソフト面からの対策があるようですが、ハード面で対応したいとは思っていません。ソフト面ではカメラ内のノイズ低減設定と同様の処理方法なのか、レンズにキャップを被せて真っ暗な写真・ダーク写真を追加して撮影し、後処理でノイズを消す方法があるようです。しかし、これを実施した経験はありません。

そこで、今回、後者のソフト面からの対応に挑戦してみることにしました。

2. ノイズ処理対象の写真とプログラム

EOSKissX7iで撮影したRAW写真を用いてノイズ処理した前後の写真を比較し確認してみました。今回はちょうどシリウスがきれいだったので、その撮った写真を利用しました。

今までに使用してきているスタック処理プログラムやレタッチソフトの中にも除去するための機能が備わっているようなのですが、まず最初にノイズ処理するとどの程度消えるものなのか確認したいと思いました。
今回、使用したソフトウェアはRStackerです。
http://www.swetake.com/astro/RStacker/index.html

RStackerのプログラムを起動し、説明書と見比べれば短時間で処理できるようになると思います。
正しい使用方法なのか確信がありませんが、手順は記載しておきます。結果としてノイズが消えていますので。

簡単で、下記のようにSrcFilesに5枚のRAW写真を追加して、DarkSubtractionのUseDarkSubtractionにレ点を印して、BrowseでDark写真を選択した後、実行Runボタンをクリックし、処理ファイル名を指定し、途中小窓で確認をするだけです。

なお、入力ファイルも出力ファイルもいずれもRAW(キヤノンですからCR2ファイル)データです。DarkFileはシリウスを撮影した後でそのままの状態でレンズにキャップを被せて撮った写真です。黒地の中に赤や、紫、白の点がパラパラと散っています。

そのDark写真1枚の指定でも良いし、あらかじめDarkFileを複数枚を平均化処理して得られたDarkFileを使用してもOKでした。

3. ノイズ処理前後の写真

ノイズ処理前後の写真は原画のままで取扱いましたが、下記説明の際には比較のためトリミング拡大して見た目を同じような画角、サイズにしています。

ノイズ処理する前のRAW写真5枚をスタックして加算平均処理して得られた写真は以下のとおりです。クロスフィルターを付けて撮っていましたので、シリウスの光条が出ていますが、写真右端と左上端の所に赤い点があります。

次に同様の写真をRStackerで処理してみました。この時のDark写真は以下のとおりです。赤い点だけが見えています。

この写真はトリミングしているのですが、写真全体にはあちこちといくつかの点が写り込んでいました。この点のみをトリミングして切り出したのが以下の写真で、赤、紫、白とありました。見やすくするためにコントラストを調整しています。

5枚のRAW写真と1枚のDark写真を用いてRStackerで処理した写真は以下のとおりです。

この写真例では赤色スポットが消えていることがわかりますが、原写真全体を見渡して紫色や白色のスポットも消えていることを確認しました。白色は良く見ると×マークのように見えていました。

写真として少し背景が明るく恒星がやや消えかけている個所もありそうですが、スタック処理の影響なのかどうかはわかりません。しかし、赤色点が無くなるだけでだいぶきれいな写真になったように思います。

4. まとめ

以上、比較的簡単にノイズ処理できることがわかりました。但し、ここではキヤノンのカメラ、写真を対象としました。処理のイメージを理解しましたので、他のプログラムでも利用したいと思います。

基本はDark写真を撮っておけば如何様にも処理できるということです。つい撮影した写真ばかりに注意が向けられるのは仕方がないのですが、一枚でも良いのですから、キャップを被せて撮っておくことに慣れると良いと思います。