Rev.0 2021/08/31 記事投稿

Rev.1 2021/09/08 2.2項にRef 3を追記 (08/22~08/23の皆既食後の掩蔽以降)

木星のガリレオ衛星の相互食が2021/08/22~08/24にかけて2回ありました。今年の相互食は木星の公転周期から6年ぶりとのこと。その現象の面白さに魅かれ本ブログ内でもNo.914~No.920の中で写真を撮りながら記事にしました。ここでは全体を参考記事としてまとめました。

1. 撮影対象とした衛星相互食

2021年8月22日から8月23日夜半にかけてガニメデによるエウロパの皆既食および掩蔽の連続、また、それに続いて8月23日から8月24日夜半にかけてもエウロパがガニメデに接近通過した後、部分食がありました。

相互食の様子を示す前にそれぞれ当日の0時における木星とガリレオ衛星の位置関係を図1および図2に示します。24時間経過しただけですが衛星の位置は変化します。図1では木星の左上、図2では木星の右下にガニメデとエウロパと文字が重なっていますので掩蔽や食の様子が感じとれるのではと思います。

図1 2021/08/22~08/23にかけてガニメデとエウロパの皆既食と掩蔽 (2021/08/23 0:00の木星系 Stellariumによります)

図2 2021/08/23~08/24にかけてガニメデとエウロパの接近と部分食 (2021/08/24 0:00の木星系 Stellariumによります)

それぞれの日の相互食の経過、特徴は以下のとおりです。Eがエウロパ、Gがガニメデを意味します。時刻はStellariumからの読み取りました。

A. 2021/08/22~2021/08/23
(1)接近(Eが左側からGに近づきます)23:00以前から
(2)皆既食(Eが完全にGの影に隠れる)23:01食開始→23:27にほぼ皆既食
(3)掩蔽(食中にEはGの後ろに隠れる)23:38頃~0:03頃
(4)掩蔽離脱(EがGの右側から再出現)0:03頃から0:27にEが完全な姿を現す

B. 2021/08/23~2021/08/24
(1)接近(Eが右側からGに近づく)23:31頃最接近。掩蔽は無しです。
(2)部分食(EがGの近くを通過後、Gの影で部分食)23:48食開始→23:58最大食
(3)食終了(EがGから遠ざかり影から姿を現す)0:08食終了

これらの様子をガニメデとエウロパの部分だけを拡大し、食および掩蔽の様子を図3および図4に示します。これらはStellariumにより作成したものです。

図3 2021/08/22~08/23にかけてのガニメデとエウロパの相互食 5分間隔で変化の様子を表示 Stellariumによります

図4 2021/08/23~08/24にかけてのガニメデとエウロパの接近と部分食 1分間隔で変化の様子を表示 Stellariumによります

2. 観測または撮影記録

両日とも天候には恵まれず前項に示した上記A.およびB.の経過にあわせた全過程の撮影はできませんでした。A.の時は二衛星が重なった(3)掩蔽進行途中からのみ、それ以前の段階は雲で覆われてしまいました。また、B.の時は二衛星の(1)接近中のみのほぼ瞬時的な撮影となってしまいました。撮影機材はCOOLPIX P1000によります。動画の最高倍率3,000×3.6倍mmで撮りました。衛星は光る点のみしか写せません、これは想定されていたことで、相互食の様子として光る二衛星の重なりを確認したかったのです。それと同時に専門家の望遠鏡による撮影結果と比較し、写り具合等、相互食について理解を深めようとしました。

2.1 COOLPIX P1000による撮影結果

(1) 上記 A.過程の撮影写真
天候のため、撮影できたのはガニメデの後ろに隠れたエウロパとの重なり(掩蔽)の様子から始まり、エウロパがガニメデの後ろから再登場した様子までです。掩蔽前の食は光の明るさがどうなるか撮りたかったのですが、雲で覆われて撮影はできませんでした。
結果を図5に示します。衛星の部分を拡大表示してそれぞれの写真の左側にペーストしました。掩蔽状態では二衛星が重なって一つの衛星に、その後、分離した二衛星が認められました。木星の縞模様が見えていない写真は明度を上げて補正した写真か、実際に感度を上げて撮った写真です。

図5 2021/08/22~08/23の相互食時の撮影 COOLPIX P1000による

(2)  上記B.過程の撮影写真
A.の撮影時よりさらに天候が良くなく、食が開始する前のエウロパがガニメデに近づいた23:40~23:42のたった2分しか撮影できませんでした。それ以外は木星の姿さえ見せませんでした。
結果を図6に示します。
イオがちょうど木星周辺、縁の位置にあり、光る点として写っていました。右下に位置するエウロパとガニメデは重なって光る楕円状に写りましたが、拡大するとガニメデの左斜め上にエウロパが見えている様子だと思われます。

図6 2021/08/23~08/24のエウロパのガニメデへの接近と部分食時の撮影 COOLPIX P1000による

2.2 望遠鏡による撮影結果

ネットでいくつかの撮影を確認しましたが、望遠鏡による撮影例としてここでは二例を挙げます。その他、末尾の4. Referenceの項でも関連リンク先を示しています。(その後、ここでは三例目としてRef 3を追加、2021/09/04に公開されましたので

Ref 1 「ほんのり光房」(久保庭様)の(シーズン終了間際に見えたガリレオ衛星相互食
Ref 2 「もっと宇宙の話をしよう!」Taizo様(木星のガリレオ衛星 相互食
Ref 3 「Nishida Kazufumi様のツイート

どちらもいずれも望遠鏡で捉えた写真です。しかし、同様に当日の天候の影響で撮影が限定されたことが報告されています。その悪条件の中にも拘わらずRef.3のNishida Kazufumi様の8/22~8/23(皆既食は撮影無し、掩蔽以降)およびにかけてRef.1の「ほんのり光房」様の望遠鏡による撮影で、特にRef.1は8/23~8/24にかけてクッキリとした画像が得られており、エウロパの部分食による明るさの変化の様子も見られています。

3. まとめ

自身にとっては初めての木星の衛星相互食の撮影でした、望遠鏡でなくCOOLPIX P1000によります。望遠鏡のようなきれいな画像は得られませんが、相互食の一部は確認できたと思います。今後チャンスがあれば、食および掩蔽の前後の接近する様子も含む全過程の撮影に挑戦したいものです。

4. Reference(参考情報)

本文中に記載した情報以外に今夏に撮られた参考になる画像はNo.914~No.920にあります。特に望遠鏡で撮影された例として下記中に引用先が示されています。
No.914
No.915
No.920