1. 概要
No.642「ふたご座流星群2019のネットライブによる観測データ」に続いて、同様に半年前になるのですが、朝日新聞・東京大木曽観測所カメラによる「みずがめ座流星群ライブ2019」から、一日分のみですがモニタービュー・観測で流星を数え整理しておきました。ライブを楽しみながらこのような観測整理を始めたきっかけです。
2. 映像とそのカメラ情報
朝日新聞社と東京大学の天文台がコラボしたとの説明で映像がまだ残っていました。
当時流星のカウントに使用した映像と同じものです。(リンク先が将来も残るかは不明)
https://www.youtube.com/watch?v=W3PLJueF_vw
また、映像の正確な時刻の情報が無く単純に2019/05/07のみです。後述しますが、映像の画角と夜空になってからの星座・恒星の位置の関係からおおよその時刻は推定できます。
カメラ設置、仕様はふたご座ライブ時と同様ですので以下のとおりです。
・場所 東京大大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所
・空 北東の空。
・画角は左右70度、上下50度。16mmF1.4、ISO100-204800。
3. 結果
(1) 流星の観測データ
表1に流星が観測された上記ライブ映像の再生時間との関係を示します。ビデオ経過時間とは映像の開始時を0時とした時の再生経過時間を意味します。夜空が暗くなって3時間~7時間に流星が見られた経過時間を示しています。この時間から、映像に流星が写っている動画を容易に見られます。ライブ映像の時間経過バーを表の数値と合わせるだけです。
特徴欄には個人的な印象としてメモしたもので、「大」は長く尾を引く流星、「右下→左上」、「下→上」は他の流星と流れる方向が少し異なっていたので注記したものです。(これだけの時間帯に集中して見続けるには根性が必要です。もちろん一日で整理したわけではありません。自動化したくなりました)
さて、問題は正確な時刻です。残念ながら正確な再生時刻のデータがありません。観覧目的であればそれで済みますが、このような地道なことを実行する者にとっては必要な情報です。これをステラナビゲータを使用して推定することにしました。例えば上記映像で再生経過時間5:00:00近辺を映し出すとベガ、デネブが明るく見えています。一方、ステラナビゲータで2019/05/08 00:00の木曽観測所の場所から見える夜空は図1のとおりです。カメラの画角は左右70°、高度は50°ですから、図1の左右は90°なので左右両端の10°分をカットして見ればほとんど一致しています。画角から北極星は画像から外れます。
この結果から、映像の開始時間は遡ると18:00~19:00間と推定されます。他の時刻の空の画像を5種類比較してみましたが、総合すると19:00とすれば最も合致するようでした。従って、表1の経過時間を時刻に変換すると3時間台は2019/05/07 22時台(22:00~23:00に見えた流星)、7時間台は2019/05/08 2時台(02:00~03:00に見えた流星)のようになります。
(2) 観測された流星写真
表1に示した各流星を数秒間の動画にして、静止画として処理取り出し、全ての画像を比較明処理した写真を図2に示します。なお、明らかな飛行機等の像は補正して消しています。
図2の流星には70枚の静止画像を使用していますので70個が写っているはずなのですが、少ないようにも見えます。70枚の全てを載せられませんが、全てに流星は写っているのを確認しています、点状や短い線、暗い流星は比較明処理で見にくくなっているかもしれません。
(3) まとめ(感想)
流星群について野外観測経験は無いのですが、「ふたご座流星群2019」と比べると月の明るさも無く見やすいのですが、みずがめ座流星群2019では数が少ないように思えました。
また、散在流星と群流星の違いは理解していたつもりですが、観測結果がそれと対応しているようには見えず不明確です。
ふたご座流星群の1時間で見えた流星は群流星と思われましたが、今回のみずがめ座流星群はランダムのように見えます。しかしながら、散在流星もこんなにたくさん見えることは考えられないですので、やはりみずがめ座流星群と他の流星群との混在なのではと思いつきましたが明らかではありません。
参考に表1で特徴欄に「大」及び流れに特徴のあった注記のあった流星11枚に限定して比較明処理しました。図3がその結果です。もう少し群流星らしい特徴がみられるかと予想しましたが、全く当たりませんでした。5時間分を含めての写真のためとも考えましたが、一概に時間帯に区別しても特に特徴の差は明確にはなりませんでした。
ここではこれ以上の考察は無理ですので避けます。単純にみずがめ座流星群のライブ映像にはこのように見られたにとどめておきます。来年が楽しみです。