今回一番気に入ったCOOLPIX P1000による土星の写真です。望遠鏡写真のようにクッキリしませんが「あっ、土星だっ」とわかる写真です。この写真は29秒間の動画を1秒間あたり30フレームを取り出してAutoStakkert!3.0でコンポジット処理し、さらに画像処理ソフトで調整したものです。
さて、カメラ単体で土星を静止画として上記のように美しく撮れれば良いのですが無理です。画質が粗くNo.599に示したとおりです。それでもこの日の土星の写りは良かった方だと思います。
一方、このような画質の天体写真を積み重ねてコンポジットすると滑らかになります(画質、ノイズ低減等、いろいろありますが、ここでは滑らかと抽象的な表現)。No.599の静止画21枚や動画版のようにスタックコンポジットがその例です。「コンポジット」、「合成」との単語からあたかも無いような画像を造りだしていると思われるかもしれませんが、一枚一枚の画像に手を加えたわけでもなく、画質を向上させる一つの数学的処理を利用しているだけです。もちろん、気象条件、大気の揺れ等の影響は含まれた画像になりますので、この処理をしてもいつも同じ画像が得られるわけではありません。反面、この処理により土星の本体模様や環の境界付近は、その部分の明るさや色の強弱の差により打消され、特徴が失われる可能性があります。
単体写真か、コンポジット写真が良いのかは好みだと思いますが、個人的には、望遠鏡の写真ではありませんので、単に撮っただけの写真より、時間をかけてこのカメラだけで撮れた写真でも見映えが良くなる方が良いと感じています。なお、月の写真ではコンポジットしたことはありません、単体写真の見映えで十分です。何十枚もの中からベストな一枚を選び出すことと、何十枚の画像をコンポジット処理して選ぶことを併用して楽しんでいるということです。
コンポジット処理して浮かび上がった写真が良ければ満足しますし、大した画像ではない場合は没にしています。