(No.533のRev.1 2019/03/25)
No.533のズームイン時に重心の移動によるレンズの首振りに関する続編です。タイトルは本稿の内容に合わせて変更しました。(注意:個人的な方法で確認した結果を記録したものです)
ここまでの結論としては以下のとおりです。
「COOLPIX P1000を手持ちでズームインすると重心が前に移りカメラが下向きになりますが、カメラボディを三脚にガッチリと固定すれば首振りはあまり気にしなくても良いように思われます。またPL-P1000T(以下プレートと呼ぶ)のような緩和プレートを取付けるとボディのままよりは少し抑制されるようです、個人的にはこれに振動等の緩和も期待し、このまま取付けた状態で使用を続けます。」
COOLPIX P1000のレンズは重いためレンズの突き出しによって重心が前に移り、カメラボディ全体が前に回転します。このためズームインするとレンズが下向きにならないようにグリップに力が入ります。これはカメラのままだけではなくプレートを取付けた状態でも同様です。
一方、カメラを三脚にガッチリと取付けた状態でカメラには触れずBluetoothリモコンで伸び縮みさせてカメラのアクセサリーシューに取付けた水準器で確認したところプレート取付け有無に拘わらずボディの明確な回転は認められませんでした(レンズ先端で確認したかったのですがわざわざ道具もそろえることでもないし簡易法も見つからず未実施)。三脚はSLIKカーボン724FAです。
さらに地上景色の撮影で簡易テスト。結果はズームインするとわずかに下に向く傾向はあるもののカメラボディのままでも三脚固定すれば大きな支障にはならないと考えられます。またプレートの使用は下向きに対して抑制の効果が少しだけ認められました。以下にこの結果を示します。
プレートの有無で同焦点距離で撮影した2枚の写真を比較しやすいように一枚の合成写真にして、どのくらいズレているか確認しました。以下、各焦点距離の合成写真(すべて原写真を重ねただけです)について記述します。
焦点距離 24mmと105mm
24mm カメラ内蔵の水準器表示して緑色の一本の線に水平にし、かつ海の水平線に合わせました。広角なので見た目は一枚の合成写真の中でそれぞれの写真のズレは見られませんが、図示していませんが拡大して見るとわずかにプレートを取付けていない方の写真が下にズレていました(理想的には合致させたかったのですが目視ですので限界で仕方かない)。このズレは水平線に合わせた手動設定の誤差で、この時はプレートを付けていない方が付けている時よりもレンズが上に向いてしまっただけのことです。この時レンズはボディズーム部から15mmほど突き出ています。
105mm 写真を拡大して確認すると橋の桁の写りの比較から24mmと同様にプレートを取付けていない方が下になっていました。初期の設定時のままということです。レンズは30mm突き出し。
200mmと400mm
200mm 拡大して確認するとプレート取付け有無の差が無く写真は重なりました。取付けない方のレンズが相対的に少しだけ下がり、その分、写真では上にズレて撮影されたことを意味します。レンズは56mm突き出し。
400mm プレートを付けていない方の写真が上にズレて200mm以下の結果とは異なって逆転しました。プレートを取付けていない方がレンズの重さの影響で下に向いたことが考えられます。レンズは82mm突き出し。
800mmと1600mm
800mm 両方ともレンズは下向きになり写真は上にズレています。特にプレートを取付けていない方がさらに写真は上(レンズはさらに下向き)にズレていました。レンズは100mm突き出し。
1600m 両方とも水平線が上にズレています。ズレは取付けていない方が相対的に大きい。レンズは108mm突き出し。
これ以上の焦点距離のレンズ突き出しは対象被写体が海の波だけになってしまいましたので、比較はできませんでした。しかし3000mmにするとレンズの飛び出し長さは112mmでしたのでこの段階で突き出し長さは96%以上にはなっているのでテストとしては問題ないと考えられます。
以上のように結果はプレートの有無によらずレンズは下向きになりました。特にカメラボディのみ三脚固定した方がプレートを使用して固定した時よりも相対的に下向きの量はわずかに大きい(倍率をさらにあげると写りとしての差は大きく感じる可能性はあります)。しかし実用的にはズームインにつれて調整が入りますのでボディのままでも気にするようなことにはならないと思いました。プレートのもっと大きな効果を予想したのですが外れ。
惑星などの3000mm以上の三脚に載せた撮影では微動雲台で調節を繰り返してフレーミングできるのであまり意識していませんでした。もっと大きな差があるとのデータが現れた時はあらためて記述します。
(結論)
手持ちでは重心によってレンズが下を向いてしまうことは感触からも明らかですが、三脚使用時ではしっかりとボディを固定さえしていれば実質上問題ないと思われます。三脚全体や雲台が頑丈であれば気にしなくても良いかもしれません。もちろんプレートを使用した時はフレーム合わせもズレによる調整しろはボディのみの時よりも相対的に小さくなるので楽になると思われます。
なお、プレートの紹介サイトではレンズ下がりには言及していませんが、振動防止、カメラのとりまわしは良くなりそうだ、と読み取れます(これを理由に購入したわけですが)。このためその効果を期待してそのまま常時取付けておくことにしました。