本題の前にひまわり9号で2025年09月の満月前後に写った月は09月09日の月齢16.9でした。それを画像1に示します。NICT:情報通信研究機構およびCIRAによる画像です。NICTの画像はカラー、CIRAの画像はBand3(RED)によるものです。虹の入江、アリスタルコス、グリマルディ、コペルニクス、ティコ等が見えています。

ひまわり9号から見て地球の背後を月が横切ったのは09/08と09/09の二日間でしたが、月が写っていたのは09/09の一枚のみ。09/08は皆既月食でしたがひまわり9号から見て月はその時間帯では地球と反対の方向に位置しているので写るわけがありません。地球の背後を横切る時間帯は当日の月食後で12:00頃でしたが、タイミングがずれて09/09のような明るい満月も写っていませんでした。

さて、ここで、ひまわり画像に月食が写り込むことがあり得るか疑問を持ちました。(追記:以下の結果を知ってになってしまいましたけれど良く考えれば皆既月食が地球の背後に写るのは地球の赤道上近くを横切ることになるので東西に画角を広げない限りひまわりに見えることはない、基本的な解が思いつかなかったことが情けない。2025/09/14記)

ひまわり8号の時から2016年以降の月が写り込むデータを見てきた限りでは、月食時の月が写り込んだことはありませんでした。日食の時に地球に月の影が写り込むのは時々見られましたが、月食は見たことがない。そこで、2026/03/03以降、2050年までの月食時に写り込まないか調べることにしました。月食の年月日はNASAのhttps://eclipse.gsfc.nasa.gov/lunar.htmlに示されています。ここで、2050年なんてひまわり9号の寿命を考慮すると役目はまっとうしているでしょうし、自身もこの世には….と。しかし、気象衛星は静止衛星で次世代にはさらに性能等も向上して引き継がれるのでしょう、実現する可能性があれば面白いと思いました。

確認方法は本ブログ中の「特集、参考記事」にある「気象衛星ひまわり8号から観える天体 (月の画像抽出)」でも触れてますようにステラナビゲータによる方法です。誤差はありますのでピタリは無理ですが近い解答は得られます。(下記NASAの月食データで、地球上で見られる皆既月食中心マークの位置で見当はつきます。ブラジルの東端大西洋の赤道近く)

結果として、以下に示す2回ほどチャンスに遭遇することがわかりました。その他にもチャンスはあるのですが今のひまわりの撮影範囲外になってしまいます。少しでも画角が広げられる可能性があれば楽しめるのにと。

2034/09/28 部分月食 12:00前後 地球の赤道近くを横切るので現在の撮影範囲を広げない限りは写らない?。

・2043/09/19 皆既月食 10:50~12:20頃 地球緯度10°位の背後に横切るので写る可能性はあると思いましたが、誤差か、上記と同様東西の地球外に少しだけでも撮影範囲を広げると写るのでしょう。

しかし、良く考えると皆既月食は太陽 – 地球 – 月が直線状に並ぶわけだから地球の赤道上に沿って月が横切るので、東西の画角を広げない限り写るわけがない(地球のみを撮影しているのでひまわり画像では特に東西南北の宇宙の撮影領域はほとんど無い)、初めにそれを考えれば良かった。まあ、ひまわりの見ている方向に皆既月食の月が通過することがあるのだと解っただけでも良いか。この時の地球上で見られる皆既月食は上記NASAの月食データのとおりで日本では見られません。でも20年後ではどうしようもない……。

画像1 ひまわり9号による月の画像 2025/09/09 12:00JSTのスキャンデータ