Seestar S50でISSの拡大撮影に挑戦。

特に標準的な使用法で撮ると光跡線状になってしまう可能性があり、そうではなく姿として捉えることを目標としています。撮影の方法の詳細は後で記します。

動画1に昨日、Seestar S50で捉えたISSの通過の様子を示します。撮影はISS通過時刻よりも1分前から開始。撮影条件の設定があいまいだったか、暗く写ってしまいました。このため編集時に明るく調整しています。ISSが中央やや上の右から左へと通過しています。30fpsで撮影されており、ISSは画角内を0.9秒で通過しています。

今回は通過位置の導入および追尾はヘルクレス座HIP84379 Sarinを利用。撮影条件はシャッター速度を1/500秒、ゲインを100としましたが結果としてもっと明るい条件が良かったと考えられます。

また、この動画からISSが写っているフレームを取出し、比較明処理した画像を画像1に示します。

動画1 Seestar S50によるISS拡大撮影 2025/07/09 19:42:47 動画MP4録画

画像1 ISSの通過比較明処理画像 動画1よりフレームを取出し処理


SeestarによるISS拡大撮影方法

Seestarによる太陽面や月面通過時のISS拡大撮影は容易ですが、その天体以外の例えばISS単独の通過時の拡大撮影は今のSeestarの特性では難しい。ISSを追跡するわけではなく待ち受け撮影なので、ISSが通過する空の位置に向け、撮影ボタンをタップすれば撮れると思われますが、簡単ではありません。

過去に試写した例としてNo.1380No.1434No.1475とあります。前者二例はいずれも光跡線状になってしまい、ISSを形、姿として捉えられず失敗、その後、天気に恵まれずNo.1475でようやく捉えられ(つつある)るまでになりました。

以上の実績から再度ここで撮影方法をまとめると成功させるためには3ステップが必要です。

(1) ISSの通過位置の導入および追尾、

(2) 天体撮影メニューの選択、

(3) 撮影条件の設定

(1)について最も簡単な方法はISSの接近通過する近くの天体を選択すること。ISSの星図上のコースはステラナビゲータ等で座標、時刻を取得できますのでその接近天体を選ぶことができるでしょう。もし接近天体が無くてもSkyAtlasの星図EQ座標を見ての選択も可能です、どちらも位置、座標が決まればあとは自動で望遠鏡が向けられるでしょう。空が明るくてプレートソルビングが不可でも途中で停止させ、その位置を追尾固定ボタンをタップすれば導入、追尾はほぼ正確です。もちろんこの時コンパスとレベル調整(0.2°以下)が必要です。

(2)について。Seestarでは撮影モードとしてa.星雲星団、b.太陽系、c.風景があります。それぞれその天体撮影にふさわしい撮影条件の設定になっています。このうち、a.星雲星団(恒星等含む)モードを選択すると10秒以上のシャッター速度(露光時間になってしまいます)なので線状に写り姿として撮れません。シャッター速度等を変えられるメニューはb.太陽系かc.風景モードの選択です。a.太陽系を選択し例えば月の導入手前まで進めます、この途中でスキップボタンをタップし導入せずに望遠鏡を通しての空の状態が表示されます。この段階で撮影条件を手動、特に高速シャッター速度が変えられるようになります。風景モードでも同様に可能ですが望遠鏡はその空の座標を追尾しませんので長い時間、待機する等の場合は画角から外れますので注意が必要です。

言い換えるとSeestarに対してはa.太陽系を撮るふりをして進めてしまうのです。但し、月が天空にないと”撮影時刻ではない”と表示され、以後、進められません。ここはアプリで月が出ていなくても設定条件がコントロールできるように対応して欲しいものです。

(3)はシャッター速度およびゲインの設定です。残念ながら、最適な条件は見つけ出せていません(参考:今回も本文中に示した条件に設定しましたが、暗い写りとなってしまいました)。しかし、もう1,2回試写すれば明確になると予想しています。