さそり座、うしかいアークトゥルス、夏の大三角に向けて撮影。横浜の空は光害たっぷりですが恒星のみを頼りにBENRO POLARISの性能確認を兼ねて夜空を楽しみました。撮影画像を以下にまとめます。合わせてこの時点のPolarisアプリ対応の状況についても整理しておきます。
1. さそり座、夏の大三角
眼でも良く見えるアークトゥルスでアライメント後、さそり座を選択してGoTo。撮影は互換性のあるEOSKissX7i+EF-S 10-22mmでしたのでPolaris内で撮影条件を設定することができ、40秒間露光、6秒間インターバル(間隔設定は5秒)、合計10枚を7分40秒間で撮影を実行することにしました。撮影終了後すぐにPolarisトラッキングをオフにして同様に撮影。
画像1はそれぞれ10枚をSiriusComp64で比較明処理しさらにGIF画像にしたものです。
画像1 POLARISトラッキングの有無による撮影画像比較 詳細は画像中に記述
ホットスポット等ノイズはありますし、メインな恒星しか写っていませんが、POLARISの7分40秒の追跡でも点の像として写されています。
この後、そのままアークトゥルスに戻り、さらに夏の大三角(目標天体デネブ選択)を導入。カメラの焦点距離の変更でレンズに触れますがそれ以外は手を触れずiPhoneで操作しているだけです。
画像2 さそり座からアークトゥルスへ自動導入移動 ほぼ中央に見えていましたのでそのまま一枚撮影 撮影条件は上記のままでTracking on
見た目、アークトゥルスが画面の中央に位置していることを確認した後、デネブに向かいました。焦点距離以外はさそり座撮影時と同じです。
画像3 アークトゥルスから夏の大三角(デネブを目標)へ自動導入 焦点距離を10mmした以外上記撮影条件で7分40秒間で10枚撮影 AS!3でスタック処理
AS!3の画像にしてしまいましたので追尾性能確認にはならないのですが10枚を比較明処理した画像も参考に以下に示します。画像を拡大して確認すると恒星はほんの少し楕円状になっています(そのままでは気が付きません)。わずかなずれですが一度さそり座撮影時にトラッキングオフにした後、そのまま再開して撮影した影響なのか良くわかりません。
画像4 夏の大三角 EOSKissX7i ISO-100 10mm f/3.5 40秒+6秒間隔 10枚比較明処理
2. BENRO POLARISについて(最新の状況)
(アプリの更新)
7月に入ってアプリBenro PolarisはVer.1.2.6 → 1.2.7 → 最新1.2.8と頻繁に更新、しかし前回のVer.1.2.5からはマイナーチェンジの印象。ファームウェアは最新で本体が6.0.0.14、Astroキットは1.0.2.6です。
一方、最新Ver.では電源投入時、本体のビープ音のみ、今までは音と同時に本体が待機位置まで回転して動きました。慣れてきていますので特段動きが無くてもPolaris画面上のジョイスティックボタンをダブルタップすればアストロキットが水平スタンバイ状態になりますので特に不便は感じません。しかし、使用マニュアルが更新されていませんので(2022/07/24時点)、動きがない事に遭遇するとマニュアルに書いてあることと合致しないので戸惑うかも知れません。
この間、POLARIS開発チームに不明な点を問合せしました。Tracking onの追跡実行開始時に中心にあった天体が三軸が高速回転してズレてしまう現象がありましたがVer.1.2.6で解消しました。導入リストに表示される天体が少なすぎ、例えばメシエ天体等は導入できませんでしたが手動による赤経、赤緯入力または検索(例:M31等)により対応できるようになりました(天体導入リストに加えた方がベター)。その他いろいろ徐々に機能追加、改善されてきているのは事実です。ブラックボックスとして操作できることが理想ですが、ある程度は慣れて操作することも開発段階?(商品だと思われるのであれば不満に思うでしょう)ですのでやむを得ないとは思います。ただ確実に使いやすい方向に進んでいるように思えます。未だに支援品が届かない、トラブル対応の苦情等の情報が少なくありません。早く小売店で販売できるような商品に到達して欲しいものです。
(上記当日のテスト時)
三脚にPOLARISを載せて、アストロキット、カメラEOSKissX7i+EF-S10-22mmを取り付け、水平であることをレベラーで確認した後は、コンパスキャリブレーション、カメラ自動接続、目標天体のアライメント、撮影対象天体の自動導入、追尾開始、撮影へと進められました。慣れれば数分もかからない作業です。今回はCOOLPIX P1000とは異なって互換性のあるカメラですからiPhone画面にLiveView表示されます。この画面でアライメントを実施しようとしましたが、眼でも見えるアークトゥルスを選定したのですがそれでも見にくく識別できず、仕方なく試写を通して恒星が画角中央にあることで確認しました。
前回EOSKissX7iで105mmの時は画面で恒星が見えていましたが今回は識別できず広角レンズの影響かも知れません、後日カメラ側との組み合わせを確認したところ、カメラ側でライブビューにするとカメラ側にも画像が同時表示され、その画面でアライメント調整しても良いと思いました。COOLPIX P1000では互換性がありませんのでこの方法で調整していました。さらにカメラ側の倍率表示×5倍、×10倍とすると”Polaris”側のiPhone画面でもそのままの倍率画像で表示されました。次回それでアライメントできるかどうか確認しようと思います。