ISSの夕方周回で天頂通過、高度85°、最短距離418kmの拡大撮影に挑戦。ISSの地上軌跡は日本海から日本列島に上陸し、能登半島、長野、東京、千葉と通過し太平洋に抜ける絶好のチャンス。当日時点クルー3ドラゴンが先端にドッキングしており、その隣にきぼう実験棟が見えるはずと期待。この拡大撮影と同時に7.5mmの魚眼レンズで天頂に向け光跡撮影も実施。
以下、拡大撮影と光跡画像を示します。
1. ISS拡大撮影
比較的低い高度からISSが認められ、撮影開始後、南東に消えるまで追跡しました。焦点距離3,000mm相当の4K映像4ファイルが得られました。ファインダーではP1000仕様で125倍ですので電池パドルらしき反射光も見えていました。
(1) 動画
4K動画から特集、参考記事と同様の方法でPIPP処理によりISSを抽出、センター化し、ぶれのひどいフレームは外して再度動画に戻しました。その結果を動画1に示します。天頂通過前後の映像です。最初、右上に上昇、大きく光っているのはラジエーターでしょうか、徐々に大きい姿に変化し、向きも水平に近づきます。撮影開始時は北西に向いており、天頂付近を撮影しながら徐々に体を180°反転し南東に向けて撮影が継続します。
右が進む方向で先端に白い点状にドラゴン、そのすぐ横の小さな棒状が「きぼう」です。天頂付近ではちょうど真下から見上げているので船外実験室も何となく映っているように見えます。その後、天頂を通過し、以後右下(南東)に向かって遠ざかりました。
動画1 2022/02/06 17:53~17:55 COOLPIX P1000 ISO-800 3,000mm f/8 フレームあたり1/800秒 4K動画から編集
(2) 静止画
上記動画からベストフレームを取出し画像1に示します。上段左から右、続けて下段左から右が経過時間を示します。上段は天頂に向かう様子、下段が右下に向かって遠ざかる様子です。ソーラーパネルの太陽光反射は天頂を過ぎて遠ざかる時の方が良く見えています。画像2はシングルフレームではなくて複数枚をAutoStakkert!3でスタック処理した画像を並べたものです。スタックする場合、過去の実績から3秒以内90フレーム内であれば形状変化によるボケはない事は確認済みですが、ここでは、1秒間隔(平均として30フレームの半分)内で処理しています。
画像1 動画から取り出した天頂通過前後のシングルベストフレーム
画像2 上記画像1の各ベストフレームが含まれるグループのスタック画像 AutoStakkert!3 50%利用率
2. ISS光跡画像
三脚に取り付けたカメラを南に向け、そのまま後ろ側に90°回転させて天頂を中心に向けた写野にしました。太陽は沈んでいるのですが、まだ西空は明るく、撮影開始直前まで試写を繰り返し最適設定条件にしたつもりです。EOS-M6 7.5mm魚眼 f/8 8秒露光2秒インターバルとしました。撮影開始後はタイマー自動シャッターリモコンに任せISSが消えるまで繰り返し撮影、拡大撮影の方に専念。
ISSが写っている画像を確認しSiriusComp64で比較明処理しました。画像3にその結果を示します。 画像4にはステラナビゲータのシミュレーション画像を参考に撮影時の横浜上空の天頂等付記しました。
ISSは画像右上コーナー、北西側からカシオペヤを通過し天頂に向かう様子、天頂通過後は左下コーナー、南東方向にオリオン座を通過して遠ざかる様子が写っています。西側は日没後40分を経過しているのですが画像は明るくなってしまいました。まだ明るさを画像を編集していて気が付いたのですが、飛行機とは別に月のやや左に縦方向の短い線が見えています。たぶん、人工衛星のフレアと思われます。
画像3 ISS光跡 2022/02/06 17:51~17:56
画像4 撮影時の天頂等をステラナビゲータを参考にフリーハンドで付記