昨日は19:30から南東の空を眺めていましたが、皆既月食中の時間帯も雲の中で観察することができませんでした。なお、AstroArtsのギャラリーやメディア情報等から多数の写真、映像が見られています。

皆既月食が終了した後でも、本影に隠された月面は撮っておきたいと思っていましたのでしばらく待機していましたが、21:00前にかなり薄い白い雲のようなものが見え出しました。視点をずらしてかろうじて感じ取れる明るさでした。月でした。本影から抜け出して30分後(標準焦点距離、300mmの試し撮りの写真を最後に追加しました。撮影条件はいい加減です)。この後、現地を離れましたが高度が高くなるにつれてもう少し明るい月になっていたかも知れません。

この時に撮影した写真をステラナビゲータ11による月の影の様子と比較してみました。ほぼ同じような欠け具合ですが明暗のみで月面を捉えることはできませんでした。

薄っすらと見せた月2021/05/26 20:57 COOLPIX P1000 ISO-1600 359mm(2000mm) f/6.3 1秒

途中、声をかけていただいた方に3年前の月食の記録、今回は本影境界のところを通過する話等をしている途中で、地球の影にかかった状態で月から見た場合の地球と太陽(掩蔽)との関係が気になりました。さっそくステラナビゲータ11でシミュレーションしました。下記は2021/05/26 12:00~2021/05/27 03:00(JST)に1時間間隔で月の真の中心から見た地球の背後に見える天体の動きです。

月の経度0°、緯度0°から見た地球と太陽の関係ステラナビゲータ11によります

このアニメ画像から、プレアデス星団やヒアデス星団が背景にあることに気が付き(No.888ではプレアデス星団についてのみ)、月からではありませんが太陽観測衛星SOHO LASCO C3画像とも似た画像であることを確認しました。下記画像は日本標準時では19:53になります。

SOHO LASCO C3 https://soho.nascom.nasa.gov/data/Theater/

次にひまわり8号(NICT:情報通信研究機構より)ではどうでしょう、日本で見えている月食なのですからひまわり8号(静止衛星)の背後に月がありますので見えません。

ひまわり8号が運用されてから皆既月食時に地球の背後を横切ったことが一度だけあります。2015/09/28 11:00~12:00です。No.555に記載した通り2015/09/29 11:50に満月が写っていましたがその前日のこの皆既月食は写っていません。

ひまわり8号は重要な気象衛星で地球を観察することを主目的としていますので地球外の写野はデータ処理、効率の点から限定されているようです。また、月食時には地球の中央をさらに通過しますので地球外のスキャン対象範囲に余裕が無くほとんど写らないと思われます。ましてや地球背後に月が通過する機会のうち月食が重なる発生確率を考慮すると、地球の背後に皆既月食が写る可能性はほとんどないのでしょう。

(追加)

21:00前に月の明るさを感じられた際の55mmおよび300mm相当の写真を追加しました。眼視では月の明るさはほとんど感じられなかったので、カメラで試し撮り確認したものです。空は白い雲だけが見えますがその先には全天が厚い雲で遮られているようでした。