以前にBENRO POLARIS(以下POLARIS)を利用して昼間の明るい空で細い月が見えない(見づらい)場合の写野内導入方法について記述しました(例:No.1048)。

今回は太陽に極めて近い金星の例です。最初に重要な注意点を触れておきます。導入の際に太陽の位置を利用します。しかし太陽を直視したりしてはいけません、とても危険です。太陽光は直接、間接的を問わず絶対に見ないことを意識しなけれぱいけません。

今回は設定から撮影まで空を全く見ることはしていません、見たのはP1000の液晶モニターのみです。

機器の組み合わせは三脚の上にPOLARISを載せて、アストロキットに微動雲台、その上にP1000を取り付けています。微動雲台は目標天体の導入時にわずかな天体の中心からのずれを補正するものです。実績から追尾性能に影響しないと判断しています(どうしてもギアのバックラッシュのためか写野内に留まるものの少しずれますのでその調整→思い込みですし、この調整は正規な方法ではありません、使用経験に基づくものです)。

具体的な操作手順等をこの記事の最後にまとめておきます。

撮影に成功した金星を画像1に示します。当日は雲が流れていました、そのためか、または太陽に近いためなのか青空ではなく白い空の中に光る金星が雲の途切れる合間に見られました。金星が写野に留めてからは撮影よりも待ち時間が大半。背景を少し暗く表示させています。参考に当日の雲が流れている中の金星を動画1に示します。撮ったままを縮小、等倍速です。

画像2は太陽によるアライメント調整時に撮影した画像です。参考に載せました。金星の画像はピントを合わせているのですがぼーっとしています。雲の無い晴れの日も同じかどうか確認してみたいと思います。

画像1 昼間の見かけ上太陽の近くに位置する金星(POLARISで導入後 COOLPIX P1000 4K動画からのスタック画像)2022/10/29 12:30

動画1 金星 3,000×3.6倍mmで4K撮影 → サイズ縮小のみ 等倍速 COOLPIX P1000

画像2 太陽 POLARISによるアライメント調整時 COOLPIX P1000 ISO-100 f/8 2,000mm相当 1/1000秒の静止画 2022/10/29 11:57

(金星導入までの手順)

以下、POLARISによる太陽を利用してアライメント調整後、金星導入、撮影までの手順を整理しておきます。

(1) 最初にPOLARISに載せたP1000にND100000フィルターを付けて太陽を導入しアライメントします(アライメントまでの操作はここでは省略します)。

(2) 太陽が写野からズレますのでジョイスティックおよびPOLARISの二軸を手動回転して2,000mm相当で写野中央に調整します。この時は微動雲台を使用しません。

(3) 調整後、トラッキングを開始し太陽が日周運動でずれないことを確認します。

(4) この後に目標天体として金星を選択しGoTo、写野導入。NDフィルターを外して太陽光がレンズ筒に入らず、かつ金星が導入されたことを確認します。(今回は最初から金星が光る点としてほぼ中央に確認できました)

(5) 10,800mmの超長焦点距離にして金星を確認し撮影します。(光学ズームの3,000mm相当で撮影して画像処理して拡大しても良いのですが3,000mm×3.6=10,800mm相当にして撮影します)。少し金星が写野中心からずれましたので微動雲台で調整)。コントラストは弱いのですが空の明るさの中でさらに明るい金星が見えます。その後、動画数分間撮影中、トラッキングのずれはほとんどありませんでした。固定撮影の場合では10秒程度で写野から金星が消えてしまうはずです。