満月と上弦の月の写真を合成した画像を画像1に示します。それも思い描いていた月の秤動(月の向き)がほぼ似たもの同士の画像で実現しました。この種の合成は秤動の差のため重なりあった画像のずれが現れてしまう場合が多いのですがそのずれがほとんど無い例になりました。
最初に、このずれを最小化し組み合わせを実現するために満月と半月の秤動がほぼ一致する日時を計算、教えていただいた「ほんのり光房」久保庭様に感謝致します。詳しくはここでもNo.966に記事としてまとめています。
画像1 月の立体的画像 満月と上弦の月 COOLPIX P1000による写真2枚の加算平均合成
このような画像にすると月面LOVE、月面Xも見つけやすい。合成はDPPによる加算平均処理。秤動のずれはわずかで、北側の夜が明ける、またはその直前のプラトー、アルプス、アペニン山脈近くの陰影も立体感が出ていて面白い。
今回の組み合わせの画像は上記No.966「こんな月の写真撮れたら面白い….」のリストの4行目に当たり以下のとおりです。組み合わせの二枚の画像の秤動差は合成時にずれがほとんど無いようにするため測心秤動緯度および秤動経度のいずれも0.4°以内を許容範囲としています。合成時に月の南北と視直径(写る大きさ)は調整できますが秤動差、顔つきの違い(向き)が大きいとどうすることもできないためです。
満月 月齢15.1 視直径29.7′ 輝面比1.00 2021/12/19 19:05撮影 理想19:08 測心秤動緯度-2.95° 測心秤動経度-0.67°
上弦 月齢7.7 視直径29.9′ 輝面比0.50 2022/03/10 20:28撮影 理想23:05 測心秤動緯度-2.59° 測心秤動経度-0.34°
上弦の月の撮影が3時間程度早く撮影しているため、測心秤動値は緯度が0.03°程度でほとんど変化しませんが、経度では0.3°程マイナス側に変化しています。ここではそのまま組み合わせ画像として利用しました(ピタリの時刻には撮影していませんので)。なお撮影時の月までの距離はStellaNavigator11によれば満月と上弦の月はそれぞれ地心距離で40.58万km、40.42万km、測心距離で40.27万km、39.90万kmでした。
満月と上弦の月の画像を加重平均処理で、上弦の月の画像を重みづけ0、20、40、60、80、100%とした場合の変化を画像2にGIFアニメにして示します。画像は容量の関係からリサイズしています。最初は満月、徐々に上弦の月に変化し、最後が上弦の月です。アニメ画像を見ると満月の方がわずかに右側に回転(ずれ)しているように見えていますが合成時の位置合わせ誤差よりも上記撮影時刻の3時間のずれが影響している可能性が考えられます。秤動緯度はほとんど変化しませんが経度は0.3°程変化しているためです。しかし、それでも合成画像としてずれはほとんど無いようないように見えます。
画像2 満月と上弦の月の加重平均処理画像の変化 上弦の月を0、20、40、60、80、100%と順に重みづけした場合
満月の写真は2021/12/19、12/20、上弦の月近くは2022/03/10の他、昨日03/11も撮影できましたので、さらに組み合わせを楽しみたいと思います。
今回のタイミング2022/03/10以後、2022年中にずれの無い組み合わせ、満月と上弦の月(下弦の月は深夜になってしまいますので撮りません)の合成による立体写真化実現のチャンスはNo.966のリストから、上弦の月が4月8日、9日、10日、5月8日、11月1日、30日、満月が3月18日、8月12日、9月10日と数少なく、それに天候により撮影できなければ長期戦になります。過去の撮影実績から選び出す方法もあるかも知れませんが地道に撮りためることが必要です。それを思うと今回の実現には恵まれました。
今後はさらに秤動差が小さい組み合わせを意識し、かつ測心秤動が短時間でも変化がありますので可能な限りリストに掲げた時刻に近い撮影を心がけ、ずれの無い画像作りを目指します。