夜の星空を対象にBENRO POLARIS 電動三脚ヘッドによる試写。前回の試写対象はNo.1035の太陽で一か月ぶりです。今回はこと座ベガを対象にキャリブレーション、アライメントした後、はくちょう座のデネブとベガを撮影。

結果は、人工光下でノイズも多く写りはひどいのですがPOLARISの追尾性能は良いように思います。機材は三脚、POLARIS本体、ASTRO拡張キット、EOSKissX7i、EF24-105mm F4L IS USMでした。試写は焦点距離は105mm(APS-Cですのでフルサイス換算で168mm)、露出時間は20秒間(もっと長くしても良かったかも)。

以下、撮影結果を示します。なお、文中POLARISはデバイス、PolarisはiOSのアプリを意味します。

(デネブに向けて撮影)

POLARISのキャリブレーション、天体のアライメント調整を終えた後、Polarisのオブジェクトリストからデネブを選択して自動導入、その状態でiPhone “Polaris”でISO-200、f/4、20秒、2秒間隔、10枚と入力設定し画面上のシャッターボタンをスライドさせて自動撮影を開始。終了後POLARISをOFF(固定撮影)にした場合のデネブのずれを把握するため同じ条件で撮影。撮影合計時間はどちらも220秒間。それぞれ比較明処理し画像1にスライダー表示としてまとめました。

画像1 デネブを105mm(フル換算168mm)で撮影した場合のPOLARIS ON/OFFの差

POLARISのON状態撮影の画像を拡大すると比較明処理したため10枚分のデネブが重なっているように見えました(そのままでは気が付きません)。デネブの部分をトリミング約200倍にして確認しましたが、今回の撮影条件では一枚の原画像でデネブは10~20ピクセル角の光る点の広がりでしたが、比較明処理した画像では20~30ピクセルの範囲(暗い恒星では数ピクセルが5ピクセル角程度の範囲)に広がり10枚のデネブ像が重なりました。日周運動の一方向の広がりは見られずランダムです。

10枚の画像全てが画像2の例のようにデネブは拡大しても点状(25倍)に写っていました。ばらつきは追尾精度内なのかそれとも別の原因によるのか明確ではありませんが実質的な問題はないようです。そのまま10枚の画像をAS!3で処理した画像を画像3に示します。一枚撮影の場合のずれの有無はもっと長時間の試写で確かめる必要がありますが、1分以内の撮影では実質的に画像処理と組み合わせれば問題ないと思われます。

画像2 デネブに向けた105mm(フル換算168mm)撮影の一例(一枚写真) これを繰り返し10枚を自動撮影

画像3 画像2のデネブ10枚の画像をAS!3でスタック処理

(ベガの撮影)

この後、一度ベガの方向に戻し上記と同様に撮影しAS!3で処理した画像を画像4に示します。POLARISのON/OFFの画像を比較並べて画像5に示します。

画像4 ベガ10枚の画像をAS!3でスタック処理

画像5 ベガの画像 POLARIS追尾と固定撮影(露光20秒間)の拡大画像の比較