ISSの太陽面通過が多摩川(撮影地:神奈川県側)近くで見られると予想されましたので出かけて撮影。前回は2021/04/01でしたから10か月ぶりです。事前の調査、現地撮影カウントダウン、そして、その後の画像処理まで一連の流れは楽しいものです。当日のISS太陽面通過時の高度は42°、距離は596kmでした、StellaNavigatorによります。太陽直視は危険です、撮影時はND5フィルターを通して液晶モニターのみ注視。

1. 動画

4K動画として撮影しました。これをPIPPで太陽をセンター化処理後、太陽の南北を画面垂直方向に補正しました。この結果を動画1に示します。動画は容量が大きすぎますので太陽部分をクロップ(2000×2000サイズ)し全体を600×600サイズに縮小しました。なお、映像上下方向は太陽南北だけでなく撮影時刻の天頂方向とも偶然に一致しています。

動画1 ISS太陽面通過 2022/02/25 10:43:04(ISS登場)COOLPIX P1000 等倍速再生 約1.0秒間で通過

黒点が2か所見えていますが、それぞれ黒点番号で右が2954、左が2955です。ISSが太陽中心点を通過する場所で狙いましたが通過時刻は予想通りピタリでしたがコースは少しずれました。しかし予想された範囲内と言えるのでしょう。

2. 比較暗合成画像

動画からPIPPによりコマ(フレーム)を取出し、SiriusComp64で比較暗処理した合成画像を以下に示します。さらに3枚程ISSらしい姿をクロップしマニュアルで加算平均した画像を4倍に拡大して右下に貼り付けておきました。太陽電池パドル程度しかわかりませんが、倍率からISSの真下部分の画像としてはこの程度の解像度と思います。画像全体を暗く処理すると黒点の左側に白斑も見えて面白いです。

画像1 ISS太陽面通過 2022/02/25 10:43 4K動画からフレームを取出しSiriusComp64で比較暗処理

上記画像1は比較暗処理の合成画像です。参考に太陽の画像としてISS通過前に撮影した4K映像19秒間からベストフレームを取出して画像2に示します。10:35に撮影したものです。明度、コントラスト等画像調整しています、二つの黒点の左側に薄っすらと白斑らしい部分も見えています。

画像2 太陽 2022/02/25 10:35 4K動画19秒間からベストフレームを取出し、明度、コントラスト等調整

以下に記録として撮ったまま(カメラを左に20~30°回転して撮影しました)の映像、画像を含め、当日撮影までの流れをメモにしておきます。

3. メモ(記録)

ISS Transit Finderで時刻および撮影場所を決定、StellaNavigatorおよびHeavens-Aboveは念のためダブル、トリプルチェック用に使用。今回は3,000mm以上の拡大撮影は避けて1,800mmの太陽フルディスクの中央通過を狙いました。

予想は一日前から3回ほどデータ元期(軌道要素TLE)が変更されたため、太陽中心通過狙いの場所は1.5km範囲でずれたり戻ったりしました。結局撮影当日朝も変更されていて、それに基づき、場所は川崎市の多摩川河口近くに決定。撮影1時間前に出発。とても良い天気でした。当日のISS Transit Finderの観測対象マップは画像3のとおりです。オレンジ色の帯がISS太陽面が観察できる場所で、中央の濃いラインが太陽面の中心通過と予想される場所です。

画像3 ISS太陽面通過観測可能場所 ISS Transit Finderによる 2022/02/25 10:43

現地到着後、COOLPIX P1000はISO-125 1,800mm f/6.3 1/1250s/frameの4K動画撮影条件に設定。動画では2,000mmですと画角からはみ出してしまいますので1,800mmに。また太陽を赤道儀追尾しませんので余裕を取ってカメラ本体を約25°程度左に回転して撮影中に太陽が写野から外れないようにしました。10秒間程度の撮影でも太陽が写野から外れるのでその防止です。

少し焦ったのはちょうど通過30秒程前に通り掛かりの方に声をかけられ、応答を少し待っていただきました(後で何をしていたかお話し動画もご覧になっていただきました)。秒単位の時刻は「117」をiPhoneからスピーカー音声で流したままでしたのでそれを聴きながら通過10秒前あたりから録画開始。液晶モニターで通過を確認しました。誰もが「おーっ」とか「通ったよ」とか大きな声を出すと思うのですが今回は静かにでした。ISSが小さく映ってしまったとの印象でしたが太陽全体を撮るためには仕方がありません。去年の3,000mmで撮影した結果はNo.873にまとめています。

参考に撮ったまま(カメラを左に回転したまま)で撮影した映像と画像の比較暗処理合成画像をそれぞれ動画2と画像4に示します。動画2は再生すると時報の入った音声も流れますので注意。

動画2 ISS太陽面通過 2022/02/25 10:42:59~10:43:06 原動画(4K=3840×2160→960×540サイズにコンバート)

上記映像録画時刻は秒針音および「午前10時43分10秒をお知らせします」と録音されています。7秒間でも右に太陽がずれますが全体が映っています。カメラ本体を傾けて設定した成果です。

画像4 ISSの太陽面通過 COOLPIX P1000を水平状態から反時計回りに25°程度回転した状態で撮影したままの画像