No.959に「ほぼセンタームーン..」と題して記事にしました。記事中にStellaNavigator11による作画にはフリーハンドで真の中心(月面公式地図上の中心)と見かけの中心(撮影月面画像の幾何学的中心)をプロットしましたが、実写画像はそのままでした。

この写真に関連して、センタームーンの現象を指摘、提唱された原典の「ほんのり光房」久保庭敦男様から、横浜における上記写真22:04の測心秤動を考慮した月面マップを提供していただきました。これによりレイヤー重ね合わせにより正確な中心をプロットすることができます。以下はその画像について保存版としてまとめ直したものです。なお、久保庭様が撮影された完全なセンタームーンと位置付けられる写真も引用させていただきました。Ref:見事なセンタームーンでした: ほんのり光房 blog (asablo.jp)

(1)横浜で撮影したほぼセンタームーンの写真

再掲ですが2021/10/23 22:04の横浜で撮影した約4時間前の月面を写真1に示します。この写真ではStellaNavigatorでシミュレーションした画像を元に月面の自転軸(南北軸)を垂直に合わせています。しかしながら、これはフリーハンドで画像を調整したもので若干の誤差があると理解していました。

写真1 月齢17.1 ほぼセンタームーン 2021/10/23 22:04 COOLPIX P1000 ISO-100 f/6.3 359mm(2,000mm) 1/250s

(2)月面マップによる校正

提供していただいた月面マップを撮影画像に写真1を重ねるとずれがあり(上述の誤差)、撮影画像を反時計回りに2.1°回転させるとマップと完全に一致しました。重ね合わせ画像を写真2に示します。あえて2.1°回転させた画像のままにしています。拡大写真で黄色の「+」が真の中心、赤色の「+」が見かけの中心位置です。中心同士が近く見えますが、センタームーンが見られる4時間前だからです。日毎に離れる方向になり、図示しませんがStellaNavigatorで観察すると、三日後には拡大図の赤色と黄色の距離が5倍程度第三象限の方にずれます。

写真2 月面マップと写真1の重ね合わせ 月面マップは撮影時刻と撮影場所を指定し、測心秤動を考慮している。

(3)ほぼセンタームーンの撮影画像

写真2に示した画像処理段階で「+」印を付した後、レイヤー月面マップを取り除くと写真3のようになります。両中心間はかなり近づいていますのでほぼセンタームーンと言っても良いでしょう。

写真3 写真2の段階で中心座標(真の中心と見かけの中心)を月面マップにあわせてプロット後、画像調整。黄色は真の、赤は見かけの中心

(4)完全なセンタームーン

撮影場所は異なりますが(つくば)、センタームーンを迎える時刻2021/10/24 02:26に撮影された画像です。写真4に示します。この画像は上記久保庭様のReferenceのリンク先に記載されているように月面マップで回転校正されたものになっています。月の中心拡大図を利用して両中心位置をフリーハンドでプロットしました。黄色の「+」しかないように見えますが、赤色の「+」が裏に重なっているからです。完全なセンタームーンです。

写真4 「ほんのり光房」に掲載されているセンタームーン画像に真の中心(黄色)と見かけの中心(赤色)をプロット

(5)ほぼセンタームーンと完全なセンタームーン

横浜で翌日02:30頃の写真を撮っておけば良いのですが、深夜で睡眠中の時間ですので撮っていません。StellaNavigatorで確認したところ02:30頃に見られる横浜の画像とつくばで見られる画像のずれは今回感じられませんでした。つくばで撮られた写真は横浜でももし撮影したら同じ画像が得られたと思われます。写真3と写真4を連続して4時間前後を利用してその変化を表現しておきました。写真5に示します。

写真5 2021/10/23 22:04のほぼセンタームーンと2021/10/24 02:26のセンタームーン(横浜とつくばと撮影位置が異なります)

以上が再校正した画像等です。記念版として大事にしたいと思います。久保庭様には提供の他、画像も流用させていただきました。感謝致します。

2021/11/19の夕方は「ほぼ皆既月食」に近い部分月食がありますが、翌日2021/11/20 05:30頃には今回のケースに近い「ほぼ・ほぼセンタームーン」が見られます(ほぼほぼ、ばかリで)。高度が15°ですが月齢15.0で満月の一日後です。

ここで、前日の夕方は部分月食で、センタームーンを意識して撮ると面白いです。それは「ほぼブラッド・センタームーン」です、ほぼは要らないか、カッコいい。