1. 火星が写っている可能性のある日時特定

気象衛星ひまわり8号の地球画像(NICT:情報通信研究機構より)において月、水星、金星、木星が写っている画像を整理してきましたが、残る火星についてまとめることにしました。ここでは背景に火星が写りそうな時期をステラナビゲータ11でサーベイ。方法は参考欄の「気象衛星ひまわり8号から観える天体 (月の画像抽出)」です。

ステラナビゲータ11ではステラパッドの日時をマウスで押し続ければ数分で1年分の様子がわかります。撮影対象外か対象内になるかは天頂から10°以内の角度に入るかどうかで(ひまわり8号から観ると地球周辺近く)、明るさ、視直径は火星に注目した天体情報で読み取れます。

ステラナビゲータ11による火星に関する特徴は概略以下のとおりでした。なお、地球に接近した2016年と2018年はマイナス等級-2.1~-2.8の明るさになったものの火星はひまわり8号の撮影対象範囲外で全滅。結局、注目する時期として火星は明るくはないが2018年12月~2019年2月がベストと思われました。

将来、火星の写りが期待されるとしたら、2020年6月から12月、この間は毎日地球の裏側を横切るようになります。東京オリンピックの頃がピークで9月頃から10月には最大-2.6等級の明るさで背景に写る可能性があります。

・2015年 10月から年末まで撮影範囲内になるが火星の明るさは1.3~1.8等級。
・2016年 一年を通して撮影範囲外。わずかに年末に範囲内になるが明るさは0.9等級。
・2017年 ほとんど撮影範囲外。10月に範囲内になるが火星は1.7~1.8等級。
・2018年 2016年と同じような状況。12月に撮影範囲内になるが0.0~0.4等級。
・2019年 年始から2月まで撮影範囲内になるが明るさは0.5等級から1.0等級。

水星、金星、木星の画像を抽出してきましたが、これらと比較すると火星はとても暗く、画像処理しない限り、火星の写りは確認できません。火星の容姿の丸いことすら無理、光る点、光るピクセル探しになりました。11,000×11,000ピクセルの画像なのに火星は6ピクセルでした。ほとんど光る点探しゲームです。ステラナビゲータの精度はかなりのものです。これが無いと探し出すことは極めて困難です。

今回、上記の探し出せる可能性の高いと思われた2019年初期に絞って確認しました。結果を表1に示します。なお、2015年10月には木星、金星、火星が視直径数度以内に集合し、一枚に写っていることを期待しましたが、確認した範囲では、2ショット、3ショットは見つけられず、それぞれ単独に写っている画像のみでした。その画像も表に含めました。時刻は日本標準時です。

2. 火星の写っている画像

残念ながら、前述したとおり火星はとても小さく、暗いため、金星、木星のような光る形にはならず、全て光る点、いや、もっと見にくく、赤、青、緑のピクセル単位の集まりでした。

表1で背景色を付けた欄の画像のみをここでは示します。

まず、最近の火星が写った画像を図1に示します。2019/01/27 04:40の画像です。ステラナビゲータのシミュレーション画像とも比較し一致していることを確認しています。図のとおり、ピクセルに色付けしたようなものでした。
この大きさはピクセル単位まで拡大したところ6ピクセルでした。

図1 ひまわり8号に写った火星の例 2019/01/27 04:40の画像

次に、木星、火星及び金星の三惑星がとても近くに並んで見える時期がありこれを図2に示します。地球の周辺に位置する可能性も考えられ期待しましたが、複数の惑星が同時に写っている画像は見つけられず、単独の画像ばかりでした。それでも一日違い、10分違いで写っていました。

図2 木星、火星、金星が並んだ星図

木星、火星、金星が写っていた例として表1に示した2015/10/13 20:50及び2015/10/14 20:40と20:50の3枚の画像を比較明処理して一枚にまとめました。これを図3に示します。写っている個所をそれぞれ白枠で囲みました。その白枠の部分を拡大して表示した画像を図4~図6に示します。同じ倍率で画像調整していますので、火星が他の惑星と比べてかなり小さく、暗いことがわかると思います。今回の代表例では極端な明るさになるよう調整したためか木星が隣に音符を伴った画像、金星はハレーションのような画像になってしまいました。木星と金星について注目した結果は既に木星についてNo.549No.550、金星についてNo.547にまとめたとおりです。

図3 一日違いの差で三惑星が写っていた全体画像

図4 木星の拡大画像 2015/10/13 20:50の画像から

図5 火星の拡大画像 2015/10/14 20:50の画像から

図6 金星の拡大画像 2015/10/14 20:40の画像から