1. 木星が写っている画像の抽出

ひまわり8号の地球全体画像データ群「国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)」から地球の背後に木星が写っている画像を抽出しました。方法は各ページ下段にある参考欄の「気象衛星ひまわり8号から観える天体 (月の画像抽出)」と同じです。

ステラナビゲータ11によってほとんどはピタリと抽出対象画像に当たるのですが、+-10分の間でずれることもありました。当然見逃された画像のある可能性は考えられます。

2015/07/07~現在(2019/04/15)までの画像全部約20万枚が対象ですが、-2.5等級で明るく、視直径が最大時(結果として44″以上)を前提条件にしましたので一年間で一か月分が対象になる程度です。

2016年と2017年が抽出画像に当たりましたが、2015、2018、2019年は確認対象に該当しませんでした。2015年は明るさ、視直径で対象外、2018年は明るさ、視直径が対象になる時期があるのですがひまわり8号の撮影範囲外になることが確実なので確認していません。2019年は初めから撮影範囲外で対象になりません。

調べてみましたら、撮影対象範囲になる木星は太陽系公転軌道から2022年3月頃ですが、視直径が少し小さく、本格的には9月頃になりそう、この頃は明るさが-2.9等級、視直径も50″近くになりそう。しかし、気象庁によればひまわり8号から9号へバトンタッチもあり得ます。

抽出結果を表1に示します。木星は一度見つかると、地球を横切るコースは一定で一か月間は地球の周りの撮影ギザギザ範囲内に入れば写っていました。

2. 地球と一緒に写っている木星画像

表1の写真26枚は単純に画像を見ただけでは木星は暗く写っているため識別できない可能性があります。このため全て画像調整した上で確認しました。

特徴として表1の備考欄のとおり2016/03/09 11:20の画像には日食による月の影と一緒に木星が写っていた画像を見つけました。これについてはNo.549の記事としてふれています。また、2枚は地球大気層を通しての画像、1枚はスキャンずれで丸くない木星も写っていました。

26枚の写真を比較明で処理し、さらに木星が見えるように画像処理した1枚を図1に示します。この画像には26個の木星が白枠内に写っています。ダウンロードして拡大して確認できますが、点状になっています。なお、元画像のサイズ11,000×11,000を1/10にリサイズしています。

図1 木星も一緒に写っているひまわり8号からの画像(26枚を比較明で1枚にしています)

 

図1の白枠を拡大した画像が図2です。4コーナーを左右上下を同じ配置にした拡大画像です。これでも見えにくいかもしれません。

図2 26個(26枚の画像)の木星が写っている個所を拡大した画像

このため、この中から木星の明るさ、視直径の大きい4枚(木星4個)を選び出して拡大した画像を図3に示します。

図3 4枚の木星(明るさも視直径も最も大きい)の大幅拡大像

木星の近くに白い点がありますがガリレオ衛星ではありません、同一画像の中に他の個所にも浮き出ているので画像処理によるノイズと考えられます。木星の画像は赤、(白)、緑の組み合わせになっていますが、可視カラー画像のため3波長バンド(光の三原色 赤、青、緑)をスキャンしているためと考えられます。白くなっているところはちょうど三原色が重なり合ったところなのかと思われますが定かではありません。

3. まとめ
ひまわり8号の画像から地球周辺に写り込んでいた木星をステラナビゲータ11を利用して確認しました。

特に2016年3月9日の11:20の画像には日食による月の影と木星が一緒に写っていました。月の影の紹介はかなり見られますが木星が写っていた情報はあまりなかったように思います。

次回、ひまわり8号が木星を捉えられるとしたら、ステラナビゲータのシミュレーションから2022年以降となります。その場合、ひまわり9号にバトンタッチされる可能性が高いと思われます。