(最近の衛星の実写例が公開されていましたのでそれを引用し本記事末尾に追記しました:記念版) 気象衛星ひまわり8号は気象庁の発表によれば2022/12/13にひまわり9号へ切り替えられます。その後、ひまわり8号は9号のバックアップとして見守る役目を果たします。計り知れない大きな成果、貢献は多くの方に記憶として残ることでしょう。

その本来の気象衛星の目的以外に個人的な興味として本ブログ中の”特集、参考記事“にあるようにひまわり8号の画像は私にとって楽しさを与えてくれました。地球の背後に写る天体、台風、火山等のデータ・情報がその例です。

今年1月15日のトンガ沖火山の爆発による潮位変化をもたらした大気圧変化の解明、さらにオリオン座のベテルギウスの変光星天体現象にひまわり8号データが役立てられた例など他の科学分野にも応用、利用されることを期待します。(No.1038No.1039)

本記事ではひまわり8号から9号へバトンタッチする前に満月期日に近い月を観ただろうかと調べました。また、ひまわり8号と9号の空の位置をステラナビゲータ11で確認しました。以下に結果を示します。

1. 今月のひまわり8号が観た最後?の月

2022年11月はバトンタッチする直前になるのかもしれません、地球の背後に写っていた月は以下のとおりです。タイムはJST。なお、12/02~12/04に地球の背後に写る可能性がありますが月齢10以下になります。画像はNICT:情報通信研究機構によります。

2022/11/04 07:4007:5008:00 月齢9.5(南極側)
2022/11/05 09:20 月齢10.6
2022/11/06 08:50 月齢11.5
2022/11/07 10:0010:1010:2010:30 月齢12.6(北極側)

それぞれの画像はリンクさせていますがそのままでは暗いので明度を上げています。これら9枚を比較明処理して画像1に示します。地球の雲の画像は9枚分が重なり現実と異なります。月はスキャンずれや撮影領域範囲外のため途切れた写真も含まれます。

画像1 ひまわり8号が見せてくれた最後の満月期近くの画像 2022/11/04~11/07 NICT:情報通信研究機構からDL 9枚の比較明処理

このうち、スキャンずれが無い例(撮影対象範囲外が含まれます)として南極側及び北極側に写った月を並べて画像2(日付12/07、12/04は11/07、11/04に訂正。2022/12/02追記)に示します。

画像2 画像1の北極、南極付近に写った月の拡大

2. ひまわり8号と9号の空の位置

ひまわり8号および9号の位置を一つの例として画像3に示します。2022/12/01 18:00時点の横浜の上空です。静止衛星ですので衛星以外の天体全部が自転により変わりますので注意。ひまわりの光点は明るく表示しています。

持ち道具で該当時刻の恒星の位置をステラナビゲータで確認しそれを参考にして撮影を試みましたが写せていません。撮影された例として紹介しておきます。「ほんのり光房」様の記事”移動する気象衛星ひまわり:2022/04/05投稿”です。参考になります。光る点に過ぎませんがいつか捉えたいものです。

追記1:2022/12/02。最近撮影された例がありましたのでその画像も紹介しておきます。FUKUI Keiichi様の望遠鏡による撮影です。https://twitter.com/FUKUI_Keiichi/status/1596952817255997442。この画像は2022/11/28に撮影されたようで撮影時刻のデータが無かったのですが赤道座標がありましたのでStellariumで横浜上空をサーベイすると01:46:45 JSTに対応するようです。それを画像4に示します。少しずれていますが観察場所が異なるためです。横浜より北に観察位置をずらすとこの撮影画像に近いシミュレーション画像が得られます。Stellariumによればまわりの恒星は8等級から10等級程度まで表示されますが、望遠鏡ではさらに暗い星が写っているようです。なお、StellaNavigator11では”ひまわり”の恒星が標準モードですので表示されません。

追記2:2022/12/04。いつも読ませていただいている”ほんのり光房“様の記事「気象衛星ひまわりが交代します 2022/12/03」に最新のひまわり8号、9号の写真が掲載されました。その画像を引用し画像5に示します。これを眺めているとどうしてもシミュレーションしたくなる性分です。
実写像の衛星ひまわりと恒星HIP 115257、みずがめ座Φ Aqrの位置関係から観察位置を変更するなどStellariumでサーベイすると2022/12/02 日没後1時間半後に撮影されたものと推定されます。参考に画像6にGIFファイルで示します。18:04から1分間隔で18:18までの変化です。実写像は連続露光になりますので恒星は直線になります。ひまわりは静止衛星ですのでがっちりと身動きせず。

画像3 ひまわり8号および9号の位置

画像4 FUKUI Keiichi様の望遠鏡による撮影画像をStellariumでシミュレーションした画像です。但し、観察場所は横浜の場合です。

画像5 ひまわり8号と9号の実写像。Ref:ほんのり光房の”気象衛星ひまわりが交代します” 2022/12/03記事中によります 2022/12/02撮影

画像6 画像5の実写像をStellariumでシミュレーション 衛星”ひまわり”の背後の恒星の動きを確認 2022/12/02