あっという間に前回の月齢2.6(No.1031)の撮影から一週間、横浜では天候に恵まれない日が続きました。5月8日は上弦でMagicMoon(同じくび振り運動、秤動の満月と上弦の月を合成した画像をここではそう呼びます。例:No.1015)のチャンスで、しかも秤動自体がかなり大きめで今までにないセンタームーンとは逆に右上に向いた偏った月面の出来上がりを楽しみにしていましたが当日の月は姿を見せず実現できませんでした。次回は11月、気長に待ちます(もちろん、上弦や同じ秤動にこだわらなければこの限りではありません)。

さて、やっと晴れたのが昨日、月齢9.6、上弦は過ぎてしまいました。ほぼ南中時の撮影です。画像1は2,000mm相当の4K動画からベストコマを取り出しました。画像2は4,800mm相当の月の南極部分の静止画撮影。

画像1で右端やや上の「危難の海」がかなり縦長の楕円模様になっているのが気になりました。もっと円形に近いと思っていましたが球体をイメージすれば視野角度的に月の縁に位置するので接線、斜めからそのように見えるのだろうと想像はできます。

この時の秤動は緯度、経度でそれぞれ測心-6.4° -6.3°で、斜め右上/時計廻りのためそう見える事は想像できるのですが、逆に左下に反時計方向へ回転する秤動の場合にはどのような形だったか確認。例としてNo.939の月と比較。この満月の秤動緯度、経度は測心でそれぞれ+6.3° +5.1°です。両方の月の秤動は互いに反対方向で秤動緯度も経度も11度以上と大きい。画像3に両方の月の姿をスライダー表示で示します。

スライドバーを左右に動かすと全く異なる画像が浮かび上がります。満月と半月の違いではなくて海の濃い色やクレーターの見える位置が大きく秤動によりずれている点です。どちらの画像もステラナビゲータを参考にして南北軸を上下方向に調整しています(調整時の若干の誤差はあると思われます)。このように並べると月面の顔が大きく異なっていることに驚きます、海の模様もティコ、コペルニクス、プラトーの位置も大きくずれています。

次に月齢9.6の測心秤動がこれだけ大きいので良く見ていたフンボルト海がどう見えるのか確認しました。画像1の該当部分を見ても月の縁近くまたは裏側に廻り込んだためか見えていません。画像3の満月には右斜め上のフンボルト海が縁に見えています。

また、画像2の南極側が逆に月縁が見やすくなるので、クラヴィウスの下のニュートンを見ようとしましたがまだ夜明け前のようで暗いままでした。ニュートンの右の月の縁にスコットは拡大すると見えています。クレーターの名称を意識しながら見るのも面白いものです。

画像1 月齢9.6 2022/05/10 19:18 COOLPIX P1000 ISO-125 f/6.3 2,000mm相当 1/100s/frame 4K動画のベストコマ RS6でWavelet処理後ホワイトバランス調整

画像2 月齢9.6 2022/05/10 19:29 COOLPIX P1000 ISO-100 f/8 4,800mm相当 1/50s RS6でWavelet処理後ホワイトバランス調整

画像3 秤動の方向の違いによる月の姿の比較 測心秤動で緯度、経度それぞれ月齢9.6の場合 -6.4° -6.3°、満月の場合+6.3° +5.1°の例

二枚の画像を加算平均しましたが、大きくずれて面白くないので例示しません。左側の影の部分を暗くする(満月利用部分)と何となく見やすくはなりますが、単純に月齢9.6の画像の方がベストです。やはり、秤動を意識して合成することが良いと思います。